連合総研が実施した「非正規で雇用される労働者の働き方・意識に関するアンケート」によると、非正規労働者のうち4人に1人は「正社員と同じ内容で同程度の仕事」をしているが、「賃金水準はほぼ同等以上である」と回答する人は1割にも満たない実態が明らかとなった。
正社員と比較した仕事の難易度をみると、「正社員と同じ内容で同程度の仕事」は26.4%だった。そのほか、「正社員と同じ内容で高度な仕事」が2.5%、「正社員と同じ内容で正社員よりも軽易な仕事」(28.2%)を合わせた“正社員と同じ内容の仕事”は57.0%と6割近くを占める。
【正社員と比較した仕事の難易度】
正社員と同じ内容で同程度の仕事 26.4%
正社員と同じ内容で高度な仕事 2.5%
正社員と同じ内容で正社員よりも軽易な仕事 28.2%
正社員とは異なる仕事 25.6%
勤め先に正社員はいない 6.0%
わからない 11.4%
職務の内容等がほぼ同じ正社員と比較した賃金水準については、「賃金水準は低くかなりの格差がある」(36.0%)と「賃金格差はあるが許容できる程度」(36.6%)がともに3割台半ばを占め、「賃金水準はほぼ同等以上である」(8.3%)は1割に満たない。
雇用契約期間は、「期間の定めはない」、いわゆる無期雇用契約の割合が39.2%と4割を占める。「わからない」が12.1%を占めるため、回答者のうち、有期雇用契約の割合は48.7%である。
回答者の半数近くを占める有期雇用契約者について、無期雇用への転換を「希望する」は53.7%、なかでも派遣労働者では6割強と多い。転換を希望する理由(複数選択)は「安定して働きたい」が84.1%と際立って多く、これに「今の仕事にやりがいを感じている」(20.8%)、「労働条件がよくなると思う」(18.8%)が2割前後で続く。
回答者全体の正社員への転換希望をみると、「今の勤め先で正社員になりたい」は11.1%にとどまり、「転職して正社員になりたい」(14.3%)を合わせても、4分の1程度となった。一方、「正社員にはなりたくない」が43.0%を占める。
転換を希望しない理由についてみると、無期転換、正社員ともに「責任が重くなるから」、「今の働き方に不満はないから」、「労働時間・労働日を選んで働きたいから」が上位を占めるが、いずれも正社員になりたくない理由で比率が高い。加えて、正社員になりたくない理由では、「家事や育児・介護の時間が必要」、「残業が多くなる」でも3割近くを占める。
回答者全体を対象に現在の仕事への不満や不安(複数選択)を聞くと、「不満や不安はない」(23.6%)にとどまり、多くが不満や不安を抱えていることがわかる。
「ボーナス(賞与)がない・少ない」(40.7%)と「賃金が低い」(36.7%)が4割前後と多く、これに「仕事の経験を積んでも賃金が増えない」が25.3%
で続いており、賃金にかかわる不満が上位にあげられている。
【現在の仕事への不満や不安 トップ10】(複数選択)
ボーナス(賞与)がない・少ない 40.7%
賃金が低い 36.7%
仕事の経験を積んでも賃金が増えない 25.3%
不満や不安はない 23.6%
職場の人間関係が悪い 13.0%
有給休暇が取りにくい 12.3%
仕事がきつい 12.0%
正社員になれない 11.1%
働く時間が短い 7.9%
教育訓練の機会が乏しい 6.8%
調査は、2022年11月30日~12月5日、全国の20~64歳の民間企業に雇用されている非正規労働者(パートタイマー・アルバイト、契約社員・準社員、派遣労働者、嘱託社員)の労働組合の組合員(500人)と非組合員(2000人)を対象にインターネットで実施した。