2022年度の倒産発生率(普通法人)は0.200%で、前年度から0.033ポイント悪化したことが、東京商工リサーチの2022年度「倒産発生率(普通法人)」調査で明らかとなった。
近況について東京商工リサーチでは「消費増税と人手不足が重なった2019年度は0.250%に悪化したが、2020年度以降はコロナ禍の資金繰り支援効果が奏功。2020年度は0.204%、2021年度は0.167%と倒産発生率は大幅低下が続き、10年間で最低水準にあった」とした。
しかし、「2022年初めからの円安に加え、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー、資材、原材料などの価格上昇があらゆる物価高を招き、人手不足も再び顕在化したことで2022年度の倒産発生率は3年ぶりに悪化した」と分析する。
2013年度以降の10年間の倒産発生率では、2021年度に次いで2番目の低水準にとどまる。
また、今後について東京商工リサーチでは「2023年度は、実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)の返済が本格化するほか、物価高や人件費の上昇が高止まり、倒産発生率の悪化が懸念される」と指摘する。
【倒産発生率】
2013年 0.341%
2014年 0.307%
2015年 0.276%
2016年 0.260%
2017年 0.250%
2018年 0.239%
2019年 0.250%
2020年 0.204%
2021年 0.167%
2022年 0.200%
都道府県別にみると、悪化が40都道府県(前年度7県)で、改善は6県(同39都道府県)、同水準が高知県のみ(同1件)だった。
倒産発生率のワーストは、富山県の0.260%(前年度0.203%)。前年度2位から初のワーストとなった。2位が宮城県0.254%(同0.195%、8位)、3位が静岡県(同0.203%、2位)と島根県(同0.198%、6位)の各0.252%、5位が茨城県0.251%(同0.202%、4位)の順だった。
ワースト上位10県は、そろって倒産発生率が前年度より悪化した。
前年度ワーストの山形県は0.184%(0.240%)で、前年度より0.056ポイント改善し全国27番目になった。
倒産発生率の最低は、高知県の0.074%(同0.074%)で、2年連続で最低を維持した。高知県の2022年度の倒産(普通法人)は9件で全国で唯一、1ケタにとどまったことが要因。
倒産発生率を地区別にみると、9地区のうち8地区で悪化した。2022年度の地区別ワーストは、東北の0.215%(前年度0.177%)だった。
産業別にみると、10産業すべてで悪化した。10産業すべて悪化は2013年度以降の10年間で初めてとなる。
産業別ワーストは、運輸業が0.363%(前年度0.252%)で、前年度より0.111ポイント悪化し、 10年間で初めてワーストとなった。燃料費の高騰や人手不足などの影響で他産業に比べ悪化幅が突出して高かった。
次いで、卸売業0.320%(同0.306%)、情報通信業0.303%(同0.255%)と続く。