「SDGsに積極的」な企業は53.6%となり、「効果を実感」している企業は69.2%にのぼっていることが、帝国データバンクが実施した「SDGsに関する企業の意識調査(2023年)」で明らかとなった。「SDGsに積極的」な中小企業は、初の5割超えとなっている。
自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて聞くと、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は27.4%となり、前回調査(2022年6月)より3.8ポイント増加した。
また、「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」は26.2%で2.4ポイント減少した。合計すると「SDGsに積極的」な企業は1.4ポイント増の53.6%となり、SDGsの達成に向けた取り組みに対する意識は前年より拡大、5割を超える企業が前向きな姿勢を示す結果となった。
【SDGsへの理解と取り組み】
意味および重要性を理解し、取り組んでいる 27.4%
意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている 26.2%
言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない 34.6%
言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない 7.2%
言葉も知らない 0.5%
分からない 4.1%
規模別にみると、「大企業」ではSDGsに積極的な企業が71.6%となり、全体(53.6%)を大幅に上回った 。「中小企業」では50.4%、うち「小規模企業」では42.8%となった。
規模別の動向について帝国データバンクでは「依然として企業規模間に格差はあるものの、“中小企業”は調査開始後初の5割超えとなり、規模の小さい企業でもSDGsに取り組む姿勢が高まってきている」とした。
SDGsに積極的な企業を業界別にみると、「金融」が72.0%で最も高かった。次いで、「農・林・水産」(64.8%)と「製造」(59.9%)が全体を上回った。
【業界別 SDGsに積極的な企業割合トップ5】
金融 72.0%
農・林・水産 64.8%
製造 59.9%
運輸・倉庫 53.4%
建設 53.3%
2030年までに達成すべきSDGs17目標のなかで、現在力を入れている項目を聞くと、働き方改革や労働者の能力向上などを含む「働きがいも経済成長も」が、32.8%で最も高かった(複数回答、以下同)。
次いで、再生可能エネルギーの利用などを含む「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(25.0%)、リサイクル活動などを含む「つくる責任つかう責任」(24.1%)、カーボンニュートラル製品開発などを含む「気候変動に具体的な対策を」(22.6%)が続いた。
現在SDGs各目標に力を入れている企業にSDGsへの取り組みによる効果を尋ねたところ、「効果を実感」している企業の割合は前回調査(66.5%)から2.7ポイント増の69.2%だった。
なかでも、「企業イメージの向上」が38.1%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「従業員のモチベーションの向上」(32.9%)も3割台で続いた。
また、「売り上げの増加」が12.7%、SDGsをビジネスチャンスとして捉え「新規事業立ち上げ、新商品・サービス開発」につながった企業が8.7%あり、帝国データバンクでは「社会課題の解決と企業の成長は両立できることを示した事例がでている」と分析する。
【SDGsへの取り組みによる効果トップ5】(複数回答)
企業イメージの向上 38.1%
従業員のモチベーションの向上 32.9%
経営方針等の明確化 18.1%
採用活動におけるプラスの効果 15.8%
売り上げの増加 12.7%
調査は、2023年6月19日~30日、全国2万7771社を対象に実施し、1万1105社の有効回答を得た。