正社員が「不足」していると回答する企業が43.1%となったことが、マイナビ(東京・千代田、土屋芳明社長)が実施した「中途採用実態調査(2023年)」で明らかとなった。運輸・物流業では「労働時間短縮への対応」のために中途採用を実施する企業が3割を超えた。
中途採用を行っている企業に、直近半年間(2023年1月~7月)の正社員の過不足感を聞くと、「余剰」が27.3%、「不足」が43.1%となった。前年と比べ「余剰」が1.9ポイント増となっているが、「不足」はほぼ変わらなかった。
役職やスキル別に「不足」の割合をみると、特に「スペシャリスト人材(IT人材など)」が最も多く47.9%となった。
中途採用を実施した理由を聞くと、「即戦力の補充」が48.1%で最多。マイナビでは「社員の過不足で“スペシャリスト人材(IT人材など)”の不足感が大きかった通り、企業は現場で即時活躍できる人材を求めている」と指摘する。
業種別で見ると、「運輸・交通・物流・倉庫」業界は、「労働時間短縮への対応」が33.7%と全体平均より10ポイント以上も高かった。これについてマイナビでは「2024年4月からトラックドライバーなどの残業時間上限規制が始まるため、『2024年問題』へ向けた人材確保を進めている」と分析する。
また、「“運輸・交通・物流・倉庫”業界では“年代別人員構成の適正化”、“定年退職者の増加”も全体よりも高い値となり、世代交代を見据えている企業が多い」と推察している。
中途採用活動の課題を聞くと、「求職者の質が低い」が36.3%で最も高かった。
【中途採用活動の課題トップ3】
求職者の質が低い 36.3%
入社後、早期に退職してしまう社員が増加している 30.3%
応募者管理が煩雑 28.8%
今後の採用基準の変化について聞くと、「書類選考」「面接」ともに「厳しくする予定」が増加した。特に「面接」では「厳しくする予定」が8.4ポイント増加した。
今後の中途採用意向について、「積極的」は53.8%で、「消極的」を大きく上回った。特に経験者採用に積極的になるという回答が多かった。
企業が求職者へ「リアルな仕事情報の事前提供」を行うRJPについて、意図的に行っているかを聞くと、約8割(77.8%)の企業が「意図的に行っている」と回答。RJP実施の効果については「入社後の定着率が増えた」が33.1%と最も高く、選考においてリアルな情報提供は、社員の定着に役立っているようだ。
【RJP実施の効果】
応募数 増えた31.8%:減った10.3%:変わらない57.9%
面接数 増えた30.9%:減った10.1%:変わらない58.9%
選考途中の辞退数 増えた19.9%:減った16.4%:変わらない63.7%
入社後の定着率 増えた33.1%:減った10.0%:変わらない56.9%
調査は、2023年7月12日~18日、2023年1~7月に中途採用業務を担当し、募集活動をしており、採用費用の管理・運用に携わっている人事担当者を対象にインターネットで実施し、1600件の有効回答を得た。