人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田、瀬野尾 裕社長)がまとめた「転職市場予測2024上半期」によると、2024年上半期の転職市場は、15分野のうち14分野で求人が増加すると予想されており、活発化すると見込まれている。
2024年上半期の転職市場全体における求人は、15分野(7業種、8職種)のうち14の分野で求人が「増加」または「好調を維持」と予想している。
求人増加の背景についてパーソルキャリアは「新型コロナの影響で一定期間採用できていなかった分の人材を確保しようと、求人数がコロナ前の水準を上回る“リバウンド需要”が好調なため」と指摘する。
「“リバウンド需要”は 2021年頃から徐々に拡大し、2023年には多くの業界で過去最高水準の求人数を記録した。2024年も引き続き“リバウンド需要”により、転職市場全体で求人の増加が期待できる」とした。
一方で、「“リバウンド需要”による採用充足の企業も少しずつ出てきており、“未経験歓迎”といった間口の広い求人から採用が終了する傾向にある」。
また、2024年上半期の転職トレンドについて以下の3点をあげた。
①転勤をなくす「地域限定社員」を導入する企業が増加。はたらきやすい環境づくりが進む
②企業のDX推進に伴い、ビジネスモデル・採用ニーズに変化が見られる
③賃上げ(ベースアップ)に踏み切る企業が2023年に続き増加。求人の好条件化が進む
【分野別予測】
営業…IT・人材業界を筆頭に積極的に採用が進む
人事…成長産業であるIT業界や人手不足が予想される物流業界では求人が増加
経理…売り上げが回復し始めた企業が多いことから請求書処理や売り上げ管理などの経理業務の負担が増え、体制を強化しようとする動きが高まっている
法務…コンプライアンスやリスク管理、SDGsに関連したコーポレートガバナンスの強化が重視される風潮が社会全体で高まり、求人数は増える
企画・マーケティング…企画・マーケティング重視の傾向は、SaaSや食品、化粧品、日用品などの業界で顕著に見られる
クリエイティブ…求人数は高止まり傾向。中でも、UI/UXデザイナーの需要が伸びる見込み
IT・通信…引き続き高い求人ニーズは続く。中でもインフラ拡充に伴いセキュリティー・クラウド関連のスキルを持つエンジニアの需要が増加傾向
電気・機械…少子高齢化による人手不足をはじめ、団塊ジュニア世代の引退を見据え技術継承可能なミドル層への需要増が生じていることや、景気動向が堅調なことなどから求人数は増える
化学・素材…半導体関連の生産力向上を背景に求人数は引き続き増加する
不動産・建設…「2024年問題」を背景に求人数は増加する。人材流出防止のために給与改定に取り組む企業が増えており、賃上げも広く実施
販売・サービス…飲食、ブライダルといった業界では売り上げ回復、物流業界では「2024年問題」を背景にドライバーの採用を強化、EC関連の好調も相まって倉庫での管理業務の求人も増えている
金融…求人数は増えると予想。主要金融機関の多くが中期経営計画の中で「人材への投資」に言及している
メディカル…製薬会社のMRのニーズは落ち着いているものの、CSO(医薬品販売業務受託機関)のMRとCRO(医薬品開発業務受託機関)の求人数は多い
事務・アシスタント…増員募集ではなく欠員募集が主流で、横ばい状態が続く
食品…少子高齢化による人手不足と海外展開を検討する企業が増えて、求人数は増加