アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場は、一部の国を除いて前期比1割前後の伸びとなっていることが、世界11カ国で人材紹介事業を展開するジェイ エイ シー リクルートメント(東京・千代田、田崎ひろみ会長兼社長)の分析で明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部)
ジェイ エイ シー リクルートメントは、JACグループ各社の拠点を展開しているアジア各国での、2024年1月~3月のホワイトカラー人材紹介の市場動向をまとめた。
それによると、アジア各国の中途採用市場は、暦や宗教行事の影響による短期的な求人・求職の増減を除いて概ね安定的で、一部の国を除いて前期比10%前後の伸びとなった。
モビリティ関連を中心とする成長分野についてジェイ エイ シー リクルートメントは「各国現地企業のほか欧米系、アジア系の外資企業との人材獲得競争で日系企業が苦戦を余儀なくされる状況にも変わりがない」と指摘した。
日系企業については、「本社から派遣される駐在員の代替要員などマネジメント人材の需要が高まっており、競合他社に対抗するためには、魅力的な報酬、責任と権限の明確化に加え、日本本社を含めた採用の意思決定スピードも求められる」とした。
【アジア各社の求人数増減】
シンガポール 前期比108%、前年同期比55%
マレーシア 同118%、同88%
タイ 同108%、同68%
インドネシア 同122%、同134%
ベトナム 同86%、同97%
韓国 同76%、同57%
インド 同110%、同96%
日本 同109%、同92%
(「日本」とは、日本企業の海外事業関連求人)
日本の市場動向については、「2024年1~3月期にジェイ エイ シー リクルートメントに寄せられた日系海外事業要員の新規求人数は、前期比92%と減少した」とした。
また、「大企業では、完成車メーカーや自動車の1次サプライヤーから新エネルギー車関連の求人や、グローバル化が進むヘルスケア業界からも多くの求人が寄せられた一方、中小企業からの求人数には依然として伸びが見られない」。
海外駐在要員の募集に限ると「昨年の10~12月からさらに増加し、前年同時期に比べ174%と伸びた。自動車・機械部品メーカーで中国やタイなどアジアの既存生産拠点の人員の交替要員を求めるものが多いほか、地政学リスクに対応するためのサプライチェーン見直しをミッションとする求人も目立つ」と指摘する。
その他にも、「グローバルでの人的資本管理や組織のグローバル化を目的とするグローバル人事の募集、海外拠点のガバナンスの強化を目的とする監査やERP(統合業務システム)導入の要員を求める募集も活発」とした。