東京商工リサーチの調査によると、2023年度(4~3月)の「後継者難」倒産は456件で、調査を開始した2013年度以降で最多件数を記録したことが明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部)
2023年度(4~3月)の後継者不在に起因する「後継者難」倒産(負債1000万円以上)は、前年度比10.6%増の456件で、2017年度(249件)を底に6年連続で前年度を上回った。最多件数の更新は、2019年度から5年連続となる。
【「後継者難」倒産推移(4~3月)】
2013年 241件
2014年 270件
2015年 286件
2016年 267件
2017年 249件
2018年 268件
2019年 319件
2020年 356件
2021年 405件
2022年 412件
2023年 456件
「後継者難」倒産の内訳は、代表者「死亡」が最多の217件(前年度比2.8%増)、次いで、「体調不良」が160件(同14.2%増)で、この2要因で377件(同7.4%増)に達し、「後継者難」倒産の8割(82.6%)を占めた。
この結果について東京商工リサーチは「少子高齢化が加速しているが、後進の育成や事業承継の準備が遅れた中小企業では、事業を仕切る代表者に不測の事態が起きると、事業継続に重大な障害になることを示している」とした。
産業別にみると、10産業のうち、製造業、小売業、情報通信業を除く7産業で前年度を上回った。最多が飲食業(24→38件)を含むサービス業他の121件(前年度比32.9%増)。次いで、建設業の106件(同26.1%増)となった。
建設業とサービス業他の2産業は100件以上で突出しており、ともに調査を開始した2013年度以降で最多となった。
【産業別 「後継者難」倒産件数】
農・林・漁・鉱業 9件(前年度比28.5%増)
建設業 106件(同26.1%増)
製造業 65件(同22.6%減)
卸売業 66件(同15.7%増)
小売業 46件(同4.1%減)
金融・保険業 3件(同200.0%増)
不動産業 16件(同6.6%増)
運輸業 16件(同14.2%増)
情報通信業 8件(同27.2%減)
サービス業他 121件(同32.9%増)