転職時の決定年収は過去5年間で32万円増加、最も増加した職種は「金融系専門職」

採用決定時に提示する決定年収は、2019年度から2023年度の5年間で32万円増となっていることが、総合人材サービス会社のパーソルキャリア(東京・千代田、瀬野尾裕社長)がまとめた「2023年度 職種版 決定年収レポート」で明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部

日本人材ニュース

転職者を受け入れる企業が、採用決定時に個人に対して提示する決定年収を年度毎に分析したところ、年々増加傾向にあり、過去5年間で32万円増加した。

2020年度は、新型コロナが流行し求人が減る中、事業継続に必要不可欠な経験者採用に重きが置かれたため、決定年収は微増したと考えられる。2021年度は景気の先行き不安から、業態変革や新規事業に乗り出す企業、DXを一層推し進める企業が急増。専門性やスキルを有する人材の獲得競争がさらに激化し、転職時の提示年収を引き上げる企業が多く見られた。

職種別に過去5年間の決定年収の上がり幅を見たところ、最も増加したのは54万円増の「金融系専門職」だった。

その要因についてパーソルキャリアは「事業強化のために、デジタル技術や資産運用、プロジェクトファイナンス等に長けた人材を求め、経験者採用の比率を上げていること」と分析する。

職種別に2022年度と2023年度の決定年収額を算出し上昇幅をみると、最も上昇したのは「技術職(組み込みソフトウェア)」で、2023年度は524万円、2022年度は510万円と14万円増加した。その要因としては「IoTの拡大」、「自動車産業の進化」などが挙げられた。

次いで「営業職」は2023年度451万円、2022年度は440万円の11万円増となった。

パーソルキャリアによると「決定年収を押し上げたのは、金融営業」だという。「不動産投資熱が高まっており、こうしたニーズを踏まえ金融業では、従来の株式や投資信託、保険といったリテール営業に留まらず、不動産投資に関する営業にも力を入れるべく、経験者採用を強化している」とした。

同じく2位の「技術職(化学・素材・化粧品・トイレタリー)」は、2023年度は466万円、2022年度は455万円の11万円増となった。

パーソルキャリアでは「化学メーカーの定期昇給とベースアップが進んだことが、決定年収の増加に影響を与えた」と指摘する。

【職種別 2022年度と2023年度の決定年収上昇幅 上位5】
技術職(組み込みソフトウェア) 14万円増
営業職 11万円増
技術職(化学・素材・化粧品・トイレタリー) 11万円増
技術職・専門職(建設・建築・不動産・プラント・工場) 10万円増
販売・サービス職 9万円増

調査は、2019年4月~2024年3月の期間に「doda」のエージェントサービスを利用して転職した個人の正社員を対象に実施した。

その他の人材採用や人事関連の記事はこちら

▼人事専門誌「日本人材ニュース」はこちらでお読みいただけます

PAGE TOP