大手企業の人事(人材開発担当)、実際に研修を受けるマネジャー・部長層の双方が、事業拡大・事業開発スキルを強化するための研修は、より実践に近い形が必要だと感じていることが、経営コンサルティング会社リブ・コンサルティングが実施した調査で分かった。

大手企業の人事(人材開発担当)、マネジャー・部長層に対して、現在のマネジャー・部長層向け研修の形態を聞いたところ、「ワークショップ・グループワーク中心のOff-JT」(43.9%)、「座学中心のOff-JT(講義型研修)」(29.8%)、「eラーニングやオンライン講義」(20.7%)、「OJT(現場での実践学習)」(5.5%)、「その他」(0.1%)となっている。
<事業成長をけん引する人材の育成に力を入れる企業が増えている>
強化すべきスキルとして、「既存事業を成長(拡大)させる推進力」(30.5%)、「事業開発・新規ビジネス創出」(27.4%)のような事業拡大・事業開発スキルを挙げた人が6割に迫り、研修手法としては、人事(人材開発担当)、マネジャー・部長層ともに、「座学では限界があり、より実践に近い形が必要だと思う」との回答が半数を超えている。
事業拡大や事業開発のスキル習得のための研修手法の印象(上位3つ)
人事(人材開発担当) | マネジャー/部長層 |
座学では限界があり、より実践に近い形が必要だと思う(58.7%) | 座学では限界があり、より実践に近い形が必要だと思う(56.2%) |
OJTで現場経験を積めば自然と獲得できると思う(17.2%) | 自社内に適切な実践機会がないため外部の新たな手法が必要だと思う(18.3%) |
座学中心の研修で十分補えると思う(12.6%) | OJTで現場経験を積めば自然と獲得できると思う(14.9%) |
<事業環境の変化によって求められるスキルも変化>
現在の事業拡大・事業開発スキルの育成(OJTなどを含む)全般に対する満足度は、人材開発担当、マネジャー・部長層で大きな違いが見られる。
人事(人材開発担当) | マネジャー/部長層 | |
非常に満足している | 11.5% | 1.8% |
やや満足している | 50.0% | 34.1% |
あまり満足していない | 27.6% | 46.0% |
全く満足していない | 6.9% | 12.1% |
育成を行っていない | 4.0% | 5.8% |
実際に研修を受けるマネジャー・部長層は、事業拡大・事業開発スキル強化のための研修の理想的な形式として、「新規事業立案の模擬体験ができるシミュレーション型研修」(54.0%)を最も多く挙げている。
また、「自社ビジネスに近いシナリオによる現実感のあるケーススタディ」(34.3%)、「フィードバックを通じたスキル定着フォロー体制」(24.1%)、「受講者が主体的に考え、意思決定できるインタラクティブな設計」(20.8%)などを重視している。
調査を行ったリブ・コンサルティングは階層別の事業開発人材育成プログラムを提供しているが、日本人材ニュースのインタビューに対して、松尾大輔パートナーは「研修導入企業の経営者・人事責任者からは、単なる研修で終わるのではなく、すぐ着手できるレベルの事業プランがアウトプットされるまで徹底的に鍛えて欲しいという期待が寄せられています」と話している。
松尾大輔パートナーのインタビューはこちら
https://jinzainews.net/jinjiguide/libcon/
人材不足が慢性化する中、事業成長に必要な人材の確保を急ぐ企業では社員教育を拡充させているが、これまでの研修手法が効果を上げているのかを確認することが必要だ。
「大手企業のマネージャーや部長層を対象とした研修における課題」の調査の詳細はこちら
https://www.libcon.co.jp/venture/documents/doc030/?utm_source=pr&utm_medium=%EF%BD%8Dedia&utm_campaign=0131_prizma_3
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