人材サービス大手パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」が発表した2025年2月の「転職求人倍率」は、前月から0.29ポイント低下して2.46倍となった。(文:日本人材ニュース編集部)

求人数は前月比99.0%と微減したものの、前年同月比では101.0%と増加傾向を維持している。一方、転職希望者数は前月比110.6%、前年同月比109.7%となった。
2月の転職求人倍率について、桜井貴史doda編集長は「転職希望者数は、前月に引き続き、4月からの新年度に向けた転職を目指して活動を始める人が多く、増加しました。特に40代以上の増加率が大きく、2019年に現在の手法で統計を取り始めて以来の最高水準となりました」と解説している。
40代以上の転職については、パーソルキャリアの「dodaエージェントサービス」を利用して転職した人に占める割合が、2023年の14.9%から2024年は16.6%へ上昇していることが明らかになっている。
人材紹介大手ジェイ エイ シー リクルートメントの調査でも、40代以上も多い管理職のうち、「転職を検討したことがある」「将来を見据え今後検討したい」と回答した人が6割を超え、年収アップを狙う人も多い。
多くの企業で人材不足が深刻になる中、即戦力のニーズは高く、豊富な経験を持つ人材は奪い合いだ。一方、黒字でもリストラを進める企業が出てきており、40代以上は希望・早期退職制度の対象になることが多い。こうしたことから、40代以上で転職に踏み出す人がさらに増える可能性はありそうだ。
転職求人倍率を業種別に見ると、前月差では12業種(「その他」は除外)すべてで低下したが、前年同月差では「金融」(2.58倍)だけが上昇した。
前月比で求人数が最も伸びた「小売・流通」(102.4%)は、「ECサイト運営企業での倉庫・物流関連の求人などで増加」(桜井貴史doda編集長)。
業種別
業種 | 転職求人倍率 | 求人数前月比(%) | 転職希望者数前月比(%) |
---|---|---|---|
全体 | 2.46 | 99.0 | 110.6 |
IT・通信 | 7.10 | 99.8 | 106.7 |
メディア | 3.64 | 100.7 | 109.1 |
金融 | 2.58 | 100.8 | 108.8 |
メディカル | 1.01 | 100.2 | 110.9 |
メーカー | 3.01 | 99.8 | 110.2 |
商社 | 1.62 | 99.9 | 109.0 |
小売・流通 | 0.64 | 102.4 | 111.5 |
レジャー・外食 | 0.74 | 102.3 | 111.9 |
エネルギー | 2.49 | 100.9 | 113.3 |
建設・不動産 | 4.95 | 100.3 | 111.2 |
コンサルティング | 7.04 | 78.9 | 108.5 |
人材サービス | 7.86 | 101.1 | 114.2 |
その他 | 0.26 | 99.0 | 111.0 |
職種別の転職求人倍率も前月差では11職種(「その他」は除外)すべてで低下した。「エンジニア(IT・通信)」(11.41倍)は求人倍率が最も高いが、前月からは1.36ポイント低下した。
前月比では6職種の求人数が増加し、「事務・アシスタント」(104.4%)が最も増加した。「事務・アシスタント」は、転職希望者数も前月比で113.3%と増加し、求人倍率(0.45倍)は全職種中で最も低い。
職種別
職種 | 転職求人倍率 | 求人数前月比(%) | 転職希望者数前月比(%) |
---|---|---|---|
全体 | 2.46 | 99.0 | 110.6 |
営業 | 2.88 | 100.8 | 109.9 |
企画・管理 | 3.31 | 98.8 | 108.6 |
エンジニア(IT・通信) | 11.41 | 95.3 | 106.6 |
エンジニア(機械・電気) | 5.64 | 99.2 | 111.2 |
専門職(メディカル) | 0.68 | 99.9 | 109.8 |
専門職(化学・食品) | 1.57 | 100.6 | 110.3 |
専門職(建設・不動産) | 5.19 | 100.8 | 110.8 |
専門職(コンサル・金融) | 5.99 | 99.1 | 109.8 |
クリエイター | 1.13 | 100.2 | 108.8 |
販売・サービス | 0.67 | 101.1 | 111.5 |
事務・アシスタント | 0.45 | 104.4 | 113.3 |
その他 | 0.05 | 103.4 | 108.1 |
3月以降の見通しについて、桜井貴史doda編集長は「3月の求人数は、4月からの新年度に採用を計画しているポジションの求人が継続され、企業の採用意欲が高いことが見込まれます。転職希望者数は、転職活動を開始する人が多かった1・2月と比較すると、やや落ち着く見立てとなり、2月比では減少する見込みです。特に3月は、賃上げの提示を行う企業もあることから、転職活動を様子見する人も一定数いることが予想されます。求人数は横ばいで、転職希望者数は減少する傾向から、転職求人倍率は上昇する見込みです」と解説している。
「転職求人倍率」の詳細はこちら
https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/