人材サービス大手パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」が発表した2025年3月の「転職求人倍率」は、前月から0.05ポイント上昇して2.51倍となった。(文:日本人材ニュース編集部)

求人数は前月比101.3%と増加し、前年同月比でも101.8%と増加している。一方、転職希望者数は前月比99.3%と減少したものの、前年同月比112.6%と増加傾向は維持している。
3月の転職求人倍率について、桜井貴史doda編集長は「転職希望者数は、転職活動を開始する人が多かった前月と比較すると例年どおりやや落ち着きが見られ、減少しました。求人数は増加し、転職希望者数は減少したため、転職求人倍率は上昇しました」と解説している。
転職求人倍率を業種別に見ると、前月差では12業種(「その他」は除外)のうち9業種で上昇したが、前年同月差では「コンサルティング」(8.68倍)と「金融」(2.60倍)だけが上昇した。
前月比で求人数が最も伸びた「コンサルティング」(124.9%)は、「IT戦略コンサルタントやデータアナリストなどのポジションで増加しました。専門性の高い人材リソースの不足やDX・デジタルテクノロジーの発展から企業のコンサルティングニーズは引き続き高く、2025年度の人材拡充に向けて求人が増加しました」(桜井貴史doda編集長)。
コンサルティング会社の採用動向に詳しい人材紹介会社リネアコンサルティングの大森崇代表取締役社長も、「コンサルティング業界においては生成AIを活用した新規事業開発などのニーズが増え、優秀なエンジニアを抱え、コスト優位性が高いAI/DXベンチャーが大きく躍進する。一方で、日常業務を支援しつつ、大型案件の獲得を目指す伴走型コンサルティングなども増えており、大手ファームを中心に事業会社の業務に精通した人材の採用も進む」と今年も人材獲得競争の継続を見込んでいる。
業種別
業種 | 転職求人倍率 | 求人数前月比(%) | 転職希望者数前月比(%) |
---|---|---|---|
全体 | 2.51 | 101.3 | 99.3 |
IT・通信 | 7.08 | 99.9 | 100.1 |
メディア | 3.48 | 95.3 | 99.6 |
金融 | 2.60 | 100.7 | 99.9 |
メディカル | 1.06 | 102.3 | 97.6 |
メーカー | 2.98 | 100.2 | 101.3 |
商社 | 1.64 | 100.4 | 99.2 |
小売・流通 | 0.65 | 102.3 | 99.8 |
レジャー・外食 | 0.76 | 100.5 | 98.2 |
エネルギー | 2.56 | 101.7 | 99.0 |
建設・不動産 | 5.03 | 100.2 | 98.8 |
コンサルティング | 8.68 | 124.9 | 101.3 |
人材サービス | 8.08 | 101.0 | 98.2 |
その他 | 0.26 | 97.8 | 98.5 |
職種別の転職求人倍率も前月差では11職種(「その他」は除外)のうち6職種上昇したが、前年同月差では11職種(「その他」は除外)すべてで下降した。
前月比では11職種のうち7種類の求人数が増加し、「エンジニア(IT・通信)」(104.4%)が最も増加した。一方で、転職希望者数は「企画・管理」が前月比で103.4%と最も増加している。
職種別
職種 | 転職求人倍率 | 求人数前月比(%) | 転職希望者数前月比(%) |
---|---|---|---|
全体 | 2.51 | 101.3 | 99.3 |
営業 | 2.87 | 99.1 | 99.2 |
企画・管理 | 3.27 | 102.0 | 103.4 |
エンジニア(IT・通信) | 11.84 | 104.4 | 100.6 |
エンジニア(機械・電気) | 5.63 | 99.9 | 100.2 |
専門職(メディカル) | 0.71 | 101.7 | 97.2 |
専門職(化学・食品) | 1.59 | 100.9 | 99.1 |
専門職(建設・不動産) | 5.30 | 101.1 | 99.1 |
専門職(コンサル・金融) | 5.77 | 99.0 | 102.8 |
クリエイター | 1.14 | 99.6 | 98.8 |
販売・サービス | 0.69 | 100.9 | 98.3 |
事務・アシスタント | 0.45 | 100.7 | 100.2 |
その他 | 0.06 | 103.1 | 94.5 |
4月以降の見通しについて、桜井貴史doda編集長は「4月の求人数は、2025年度に採用を計画しているポジションの求人が継続され、企業の採用意欲が高いことが見込まれます。転職希望者数は、部署異動などの環境の変化により、転職を検討する人がいること、また新社会人が4月の段階で転職サービスに登録する動きが見られるため増加が見込まれます。求人数の増加率よりも転職希望者数の増加率のほうが大きいことが予測され、転職求人倍率は下降する見込みです」と解説している。
「転職求人倍率」の詳細はこちら
https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/
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