【リブセンス】お祝い金の導入で成功報酬型人材サービスを確立

2011年12月東証マザーズに上場し、最年少の上場社長と話題になったリブセンス村上太一氏。お祝い金と成功報酬という斬新なアルバイト求人サイトで業績を伸ばした。同社のビジネスモデルと今後の事業展開を聞いた。

リブセンス

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村上 太一 代表取締役社長

1986年東京生まれ。2002年早稲田大学高等学院入学、起業に向けた準備を開始。05年早稲田大学政治経済学部入学(09年卒業)。ベンチャー起業家養成基礎講座を受講、ビジネスプランコンテストで優勝。大和総研、インターネット関連ベンチャー企業にてインターンシップを経験。06年リブセンスを設立し、代表取締役社長に就任。11年12月東京証券取引所マザーズ市場に上場。11年度「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン(新日本有限責任監査法人主催)」チャレンジング・スピリット部門大賞を受賞。

求人広告サイトの「ジョブセンス」のビジネスモデルを教えてください。

「ジョブセンス」は、アルバイトの求人サイトで成功報酬型の料金体系をとっています。成功報酬型とは、求人情報の掲載には一切費用が発生せず、採用という成果が出てから初めて料金が発生する仕組みです。

一般的な求人広告サイトでは、掲載時点で費用が発生しますので、企業からすると、費用を支払って求人情報を掲載しても人材が採用できないかもしれないというリスクがあります。このため、企業が掲載期間を限定して求人情報を載せることになり、求職者であるユーザーは少ない情報からアルバイトを探さなければなりません。

一方、成功報酬型の場合、企業は掲載期間や掲載費用に縛られることなく採用が決まるまで求人情報を載せ続けることができ、ユーザーは豊富な情報から本当に希望するアルバイトを探せるというメリットがあります。また、求人広告サイト運営会社では、企業に求人情報掲載枠を販売する営業担当が重要な役割を担っており、営業担当の人数と広告の売上額はある程度比例する傾向にあります。そして、営業担当の人件費が掲載費用に加わり、企業が負担をしているわけです。

しかし、当社では、成功報酬型で掲載へのハードルが低いことなどから、営業担当をほとんど抱えることなく効率的に運営する仕組みを構築しています。 ご契約いただいた企業には、管理画面をお渡しし、必要に応じて情報掲載のオン/オフを切り替えてもらうようになっています。費用対効果から継続的に求人情報を掲載する企業が多く、リピーターが蓄積されることで着実に顧客企業数は増加しており、約1万1000社に当社のサービスをご利用いただいています。

「ジョブセンス」以外の求人情報メディアには、正社員求人サイト「ジョブセンスLink」、派遣社員求人サイト「ジョブセンス派遣」があります。さらに、求人情報メディアで確立した仕組みを活用して、不動産情報サイト「DOOR賃貸」、中古車情報サイト「Motors-net」へと事業領域を拡大させています。 現在当社の運営するインターネットメディアに共通する特徴は、成功報酬型、低リスク低価格、掲載枠・期間無制限、お祝い金・キャッシュバックがあるという点です。

お祝い金・キャッシュバックとはどのようなシステムですか。

当社では、ユーザーが当社の運営するサイトを利用して採用や派遣登録、賃貸物件への入居契約が確定した場合に、企業からいただいた成功報酬の一部をユーザーに「お祝い金」や「キャッシュバック」として贈呈しています。 企業が成功報酬の料金を上げると、ユーザーに支払われる「お祝い金」「キャッシュバック」が増えるとともに、その企業の掲載情報がサイト画面の上位に表示されるようになります。例えば、緊急に採用したい、大量に採用したいという場合に、料金を上げることによってユーザーの応募を促進することができるのです。

「お祝い金」「キャッシュバック」によって、多くのユーザーがサイトに集まり易くなるということはもちろんですが、採用や入居等が決定した際にユーザーから当社に申請をしてもらうことで、採用等の確認を企業とユーザーの双方から得ることができ、成功報酬型モデルを運用していくためには欠かせない仕組みとなっています。

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起業のきっかけになったことは。

小学生の頃から社長になりたいと漠然と思っていました。高校3年生の時、起業メンバー集めなど具体的な起業準備をすると同時に、私自身がアルバイトを探す際に感じた不便さを解消しようと、現在のビジネスモデルの原型となる成功報酬型アルバイトサイトの仕組みを発案しました。

2005年に早稲田大学入学後、ベンチャー起業家養成基礎講座を受講してビジネスプランコンテストで優勝し、その特典としてオフィスを一年間無料でできる権利をいただいたことをきっかけに、2006年2月大学1年生の時にリブセンスを設立しました。

SEO(検索エンジン最適化)には、早くから注目していたということですが。

創業当時は、お金も人手もない中でいかに効率よくユーザーやお客様が集まるサイトを創るかということが至上命題でした。アルバイトを探す場合、インターネット検索を利用することが多いので、SEOへの対応は必要不可欠でした。当時、SEOが注目され始めた頃で強い専門業者もなく、関連書籍もまだ数冊出ている程度で研究レベルも高くなかったので、自分たちでリサーチをして試行錯誤しながらノウハウを蓄積してきました。

当社では、システムやサイトデザイン、運用、マーケティングまで全て内製化していて、ユーザビリティはもちろんのこと、SEOを考慮したサイト創りを行っています。創業当初からコツコツ研究し、実際のサイト創りで蓄積してきたノウハウこそが、現在の当社の強みとなっているのだと感じています。

経営体制の特徴は。

従業員の構成は、正社員36人のうち営業担当はわずか2人で、エンジニアが4割超と最も多くなっています。成功報酬型のビジネスモデルやサービス開発の内製化によって、高効率な事業運営体制が構築できていることが特徴と言えます。

新規取引先の開拓に当たっては、既存のお客様からの紹介や、ダイレクトメールの発送、一部電話でのアナウンスなど、プル型の仕組みによって着実に企業数を増やしています。また、11年12月7日の株式上場により、マスメディアで取り上げられる機会も増え、知名度が徐々に上がってきたことから、お客様からお問い合わせをいただくことも多くなりました。

さらに、上場した理由の一つでもありますが、会社の知名度が上がってきたことで、当社の採用においても優秀な人材のエントリーが増えてきています。インターネットビジネスにおいては、優秀な人材の確保が企業成長のキーとなります。当社の持つ特徴やこれまで蓄積してきた技術面での強みを活かしながら、インターネットメディア事業で業界トップレベルのサービスを継続的に提供できるよう、事業拡大していきたいと考えています。

ソーシャルメディアへの対応は。

ソーシャルメディアという言葉に踊らされて、本質的なところを見失ってはいけないと思っています。ソーシャルリクルーティングという話も聞かれますが、全体のパイからすると現状は未だ利用が限られており、文化の違いもあるのでソーシャルメディアを利用した転職ということには抵抗があるでしょう。ただ、ソーシャルという波は間違いなく来ているので、対応施策は社内で検討しています。

今後、どのようなサービス提供を目指しますか。

「文化となるWebサービスを、つくる」というスローガンを掲げ、世の中の人が無くなったら困るようなサービス創りに取り組んでいます。圧倒的なナンバーワンやオンリーワンのインターネットサービスとしてお客様に支持されることは、一つの文化となりうると思います。現在提供しているサービス、今後新たに生み出していくサービスを通して、経営理念である「幸せから生まれる幸せ」を最大化していきたいと考えています。

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