アクセスヒューマネクスト
冨澤 一憲 代表取締役社長
3月1日の採用広報開始から自社の説明会を開催する企業が多くなっていますので、それまでの期間にいかに学生に自社を認知してもらうかが重要になっています。インターンシップが定着し、就活のスタートをインターン参加時と答える学生が大半を占めています。
企業は学生と直接接触できる機会を求めていますが、多くの学生に会うのではなく、採用ターゲットの学生に限定したインターンシップや大学別・職種別などの説明会が増えています。
こうした動きの背景には、就職ナビから多くのエントリーがあっても結局は説明会や面談を欠席する学生が非常に多くなっているためです。3月1日の時点でより志望度の高い学生をどれだけ集められるかが重視されています。
また、採用プロセスでは、次回の面談までの期間が長い企業よりもスピーディーに選考を行う企業の方が上手くいく傾向にあります。
学生の動きは19年卒と比較して大きな変化は見られませんが、売り手市場で内定を得やすい状況を反映し、大手企業志向がさらに強まっています。早期から学生に情報を提供しようとす
る企業の動きは活発ですが、売り手市場が進むほど学生の動きは鈍くなります。
ただ、学生と話すと「好景気は東京五輪までだから、19年卒と同じような採用状況が20年卒も続くだろうか」と不安を感じている様子はうかがえます。また、働き方の希望として、転勤を嫌がるという傾向は顕著です。
今後の新卒採用を考える上で、まず理解する必要があるのは、大学進学率の上昇に伴って学生の平均学力は低下傾向にあるという実態です。高いハードルをクリアできる学生の採用は困難度が増しているため、仕事の成果を個人の能力だけに依存するのではなく、商品力やビジネスモデルによって成長していく企業運営が求められていると感じます。
実際に、新卒を採用しながら中長期的な成長を実現している企業は、新卒採用に力を入れるとともに誰でも成果を出しやすい組織運営や人材育成に力を入れています。