ランスタッド
渡辺 一誠 紹介事業部 ライフサイエンスチーム コンサルタント
製薬業界では、新薬創出の難易度向上、ジェネリックの攻勢増加を受け、臨床開発からマーケティングまで、採用は活発です。営業的視点だけでなく学術的に中立な立場でドクターと向きあうMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)のニーズが特に高まっています。
ただし要件も高く、医師、看護師、薬剤師などメディカル・サイエンスの知識がマストです。また、主流だった糖尿・循環器系から、抗がん剤へシフトしていることから、MRにもその領域が求められます。
医療機器業界も活況で、営業職では若くて優秀であれば、業界未経験でも企業は採用に前向きです。逆に、「○○分野一筋」など、経験値が高い方はく、各市場の成熟度に応じて展開し、効率性の高い経営を行っている企業が目立ちます。
その動向に伴い、求人も語学力だけでなく、その国に関する実務経験に加え、業界・製品知識が求められる傾向が目立ち、海外関連の求人数も増加傾向にあります。 売り手市場とはいえ、企業の採用絶対数を満たすだけの転職希望者は少なく、景気の持ち直しに伴い現職者による転職相談者が多くなっています。
企業は即戦力で候補者を求める傾向が強いため、候補者からすると実務経験がないことから、希望する業界・商材への転職機会が広いとは言い難い状況です。言い換えれば、その業界・実務における専門性を持つ人材にとっては重宝される機会であるとも言えます。
40代半ばでも門戸は開かれています。一方、新しい風を取り入れて事業成長させたいという思いから、経営企画、マーケティング、ブランディング、デジタルマーケティング分野の他業界からの採用も増えています。また英語力を求める傾向も強いです。
当分野では、新薬開発・事業の立て直しのために、組織の活性化や若返りを図っており、40代以上の方が早期退職制度を使って多く市場に出ています。
求職者は、異なる製品領域や、外資から日系企業への転身を希望する傾向ですが、企業側が求めるのは「高い専門性」であることから、そこにミスマッチが見受けられます。また、マネジメント層には、過去の職務においてどのような変革をもたらしてきたか、が求められる傾向です。
採用もブランディングです。企業は、採用活動を通して候補者からも選考されていると意識することが重要です。同様に、選考プロセスのスピードも大切です。
候補者の多くは複数の選考を受けています。選考をスピーディーに行うことは時間的に有利なだけでなく、企業側の「採用したい」姿勢を表す意味でも重要です。
また、最近はRPO(採用代行)を導入する企業が増えています。人事とRPOの連携が取れているケースでは、スピーディーに採用を成功させています。