ジェイ エイ シー リクルートメント
深野 健介 製造業ディビジョン部長
製造業の中途採用は、数年前まで大手メーカーを中心に35歳以下の若手エンジニアを大量に採用していましたが、最近では即戦力となる人材は年齢に関係なく40代~50代も積極的に採用する企業が増加しています。これは、昨今の市場変化に対し各社では経営の集中と選択が求められていることによるものです。
不採算部門を精算し収益性の高い事業領域への資源投下に加え、成長を目的とする新事業開発部門では即戦力となる人材が不可欠であることから、エンジニアを中心に年齢に関係なく即戦力採用の流れが確実に進んでおり、特に「海外」や「IoT」関連の事業においては顕著です。
例として、中国では4月から外国人就労者のランク付けを行う制度の導入にともない、海外関連事業が活発な中堅・中小企業から、リスクヘッジを目的にトップマネジメントの交代に備えた採用ニーズが増加しています。また、自動車と関連の部品供給に関わる機械・加工・設備メーカー等では、米国の政権交代による北米市場に及ぼす影響と円安の懸念を背景に、アジアシフトを目的にアジア地域でのマネジメント経験者のニーズが増加しています。
「IoT」関連は大手企業が中心ですが、ビジネスでの実用化に向けた事業企画側と導入側の双方から採用ニーズが急増しています。大手企業では海外事業が含まれるため、この職種でも語学力を有する人材が求められています。
エンジニア人材は圧倒的な売手市場であることから、日系企業だけでなく外資系企業からも引き合いが強く、採用競争は激化の一途を辿っています。
これらの潮流はしばらく継続することが予想されるため、人事が新卒採用活動に注力する4~6月はいかに中途採用の体制を整えて選考スピードを落とさない状態を維持できるかが優秀な人材採用のカギとなります。逆に言えば、日系企業の中途採用活動が手薄になるこの時期に、エンジニア人材が売手市場であることを各部門に共有し、部門責任者も巻き込んだ体制を構築して採用活動を強化すれば、優秀な人材が獲得できる期間であるとも言えるでしょう。