【法務職の中途採用】日系企業はグローバル展開等の規模拡大に伴う増員が目立つ

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長尾 龍彦 代表取締役

【PROFILE】慶応義塾大学法学部法律学科卒。大手外資系金融機関にて融資・審査・リーガルコンプライアンス・法人営業を経験。2008年に人材紹介業界へ転身。法律・特許事務所、金融・企業のリーガルコンプライアンスのサーチを担当。15年に独立し現職。

IT、金融、製薬業界の法務人材のニーズが高い状態です。元々、他業種に比べ人材流動が活発なため、欠員補充が出やすい領域です。これは外資系企業に顕著です。ちなみに、企業側もスキルがあれば転職回数にこだわらない傾向にあるといえます。

日系は外資系に比べ欠員補充よりグローバル展開などの規模拡大に伴う増員やグローバル人材の採用ニーズが高い状況です。ポジションは外資日系問わず、管理職からスタッフレベルまで様々です。ただ、日系の場合、管理職の採用ニーズは定年退職者の後任が社内にいない場合にのみ限られる傾向にあります。

コンプライアンスでは金融、製薬、消費財、流通、環境エネルギーで人材ニーズが強いです。業界特有のコンプライアンスの他、FCPAなどグローバルコンプライアンスの推進を強化する企業が多く、新設部門、ポジションが多いのが特徴です。

例えば製薬業界では、米国特許訴訟の対応ができる30代のバイリンガル人材で弁護士、USlawyerの有資格者の採用ニーズが高い半面、人材が少なく、電機メーカーなど他業界からの転職が多いのが特徴です。実務面でライセンス契約、訴訟に長けていれば活躍できるポテンシャルがあると判断すると思われます。

人材の動きとしては近年、司法試験制度の改革で合格者、法曹人口が増加し需給過多となり、多くの弁護士は就職先や転職先に企業を視野に入れています。また、将来パートナーになれる見込みのあるエリート弁護士以外は30歳頃から転職を考えざるを得ない状況です。

こうした中、企業は従来のコスト面を含め弁護士が採用しやすくなったと考え、弁護士を増やす傾向にあり、今後もますます増えると考えます。

また弁理士は、特許事務所での採用ニーズが多い一方で、特許出願件数が減り、売り上げ減少から将来の不透明さを懸念し、企業知財部への転職希望者が非常に多いのが特徴です。しかし、知財の求人は、法務やコンプライアンスに比べ少なく、企業知財部での実務経験者を求める傾向があり、需要と供給がマッチしていない状況です。


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