エム・アイ・アソシエイツ(現アジャイルHR)
松丘 啓司 代表取締役社長
【PROFILE】東京大学法学部卒業。アクセンチュアの人材・組織コンサルティング部門責任者を経て、2005年にエム・アイ・アソシエイツを設立。2018年にアジャイルHRを設立。パフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョン、組織営業といった領域で、企業向けの人材開発・組織変革プログラムの開発と提供を続けている。著書に『人事評価はもういらない』『1on1マネジメント』などがある。
上司と部下の1対1での頻繁な対話(1on1:ワンオンワン)を制度として導入する会社が増えています。従来の目標管理における半期に1度の面談が業績向上にほとんど役立っていないと認識されつつあるからです。
変化のサイクルが短い環境のもとでは、リアルタイムでのフィードバックが求められていますが、半期に1度の面談では期間が空きすぎて学習効果が得られません。また、従来の面談は目標の達成度の管理が中心で、成長を支援するという目的が希薄でした。
管理するだけでは業績向上につながらないため、1on1ではメンバーの成長やパフォーマンス向上を上司が支援するという目的が重視されています。しかし、管理は得意だが、一人一人のパフォーマンス向上を支援する「ピープルマネジメント」には不慣れなマネジャーが大半を占めているのが実態です。
そのため、1on1が効果的だと耳にしても、具体的に何をすればよいのかがよくわかりません。また、次のような断片的な情報もマネジャーを混乱させる原因になっています。
「1on1はコーチングの場だ」。そういう側面もありますが、それは1on1の部分に過ぎません。
「1on1では業務以外の話をすべきだ」。業務以外の話をしても構いませんが、成長やパフォーマンス向上につながらないと意味がありません。
「1on1の場で上司は部下に寄り添う必要がある」。マネジャーは心の温かい人でなければ務まらないわけではありません。
1on1を効果的に機能させるには、マネジメントスキル以前にマネジャーのマインドセットを切り替えることが不可欠です。
本書では、まず1on1が求められる背景と1on1の狙いを解説した上で、ピープルマネジメントにおける「マネジャーの役割」を整理しています。さらに「部下理解・相互理解」「目標設定支援」「リフレクション支援」「キャリア開発支援」「チームパフォーマンスの最大化」という目的に照らしたマネジメントの35のポイントを体系的に解説しています。
松丘啓司 著
ファーストプレス、1,500円+税