BYODとはBring Your Own Deviceの頭文字からなる略語で、企業の従業員が個人的に所有するスマホやパソコンなどを業務上で使用することを意味します。アメリカではホームパーティーなどの招待状によく「飲み物は持参ください」を意味するBYOB(Bring Your Own Beer)という文字を書くことから、それに由来したものとされます。BYODにはメリットの反面でリスクもあるため導入にするには十分な検討と準備が必要です。
従来は会社が統一したスマホやタブレット、パソコンなどのデバイスを支給して従業員はそれを使用するというのが一般的でした。BYODだと従業員が普段から使い慣れたデバイスを利用することにより、仕事の効率をアップすることが期待できます。さらに社外でも業務ができるためライフスタイルに合わせたリモートワーク(テレワーク)が可能となり、子育てや介護などの環境変化に対応しやすくなります。また会社側はデバイスを購入して定期的にメンテナンスする必要がないのでコストの削減につながることもメリットといえるでしょう。
ただBYODによってデバイスがマルウェア(悪意のあるプログラムやソフトウェア)に感染するリスクが高まるためセキュリティ対策が大きな課題となります。企業が把握していない個人のデバイスを業務に利用することを「シャドーIT」と呼んでセキュリティリスクの観点から問題視されますが、BYODにも同じような状況が考えられます。シャドーITではたとえば「USBで持ち帰った会社のファイルを自宅やネットカフェのパソコンを使って作業する」、「会社で許可していないアプリやメールサービスを使用する」といった行為がセキュリティリスクとされます。
シャドーITの場合、従業員が企業のためによかれと思い仕事に用いることで自覚しないうちにセキュリティリスクを招いてしまうのが特徴です。BYODにおいてもそのような事態が考えられるため、ITやセキュリティに対する従業員教育や相談できる専門部署の設置、定期的なヒヤリングによる実態の把握といった対策が不可欠です。
最近はBYODを導入する企業が増えていることもあって、セキュリティ対策から従業員のプライバシー保護や通信費用まで視野に入れたBYODソリューションサービスも見受けられるようになりました。