Off-JTとはOff-The-Job Trainingの頭文字を並べた略語で、OJT(On-The-Job Training)とともに教育訓練を指す言葉として使われます。OJTが日常業務を行いながら現場でトレーニングすることを意味するのに対して、Off-JTは現場を一時的に離れた状況で行うトレーニングを指します。それぞれにメリットとデメリットがあり特徴を理解したうえで導入することが大切です。
Off-JTには現場から離れた会議室や研修施設などで行う講師による外部スクールやセミナーに参加する集合型研修と、従業員が都合のよい時間に受けられる通信教育やe₋ラーニングによる研修があります。内容としては新入社員研修をはじめリーダー研修、管理職研修といった役職別から経理・財務・法務といった業務別の研修、スキルを身につけるためのコーチング研修、コミュニケーションスキル研修、メンタルヘルス研修などを行います。
一方、OJTはアメリカで第一次世界大戦中に軍隊の兵士の育成や造船所で働く人を教育するために考えられた「4段階職業指導法」が起源とされ、「Show(やってみせる)」「Tell(説明する)」「Do(やらせてみる)」「Check(評価・追加指導する)」が基本になります。教育担当を任されたリーダーや先輩社員が仕事をしながらマンツーマンで後輩を指導するのが一般的です。
以前はOJTを重視する傾向にありましたが、忙しい時期とそうでない時期によって指導内容に差が出る可能性もあるため、必要な知識やスキルを体系的に身につけて仕事の基礎を学べるOff-JTの役割が見直されるようになりました。近年はOJTで教育担当を務める中堅層やシニア層の人数が減って人材確保が難しくなり、Off-JTのニーズが高まっているといわれます。
OJTは実践を通してスキルアップさせることで即戦力となる人材育成につながりますが、教育担当者に負担がかかることや指導内容にばらつきがある可能性は否めません。Off-JTは複数社員に対して同じ研修を行うため比較的均一した育成効果が期待できますが、学んだことを実践する機会がなければスキルアップにはなりません。Off-JTで得た知識をOJTにより実践できるように組み合わせることが理想的です。