ヒューリスティック

ヒューリスティックとは、問題解決において、簡単な判断基準やルールを用いることで、複雑な問題を解決する手法のことです。心理学では「発見的手法」という意味で使われています。ヒューリスティックは、経験や先入観によって導き出された直感で素早く判断することで、迅速な意思決定が行なえます。たとえば、服装からその人の性格や職業を判断することはヒューリスティックな判断です。

行動経済学においてヒューリスティックは意思を下す際に、「完璧な計算や分析を行わずに、簡略化した思考で判断する手法を意味しており、ビジネスでの日常業務やマーケティングなど様々な場面で活用されています。しかし、効果的に活用するためには、メリット・デメリットを正しく理解し、臨機応変に活かす必要があります。

ヒューリスティックのメリットは、意思決定を迅速に行えることです。たとえば、問題を注意深く考える時間がない場合や、情報が多すぎて十分に処理できない場合、ヒューリスティックな判断をすることで、スムーズに意思決定を行えます。また、ヒューリスティックは分析にツールを使わないため、競合他社との比較をスピーディーに実施しやすい点があります。

一方で、ヒューリスティックは、問題を単純化しすぎることで、重要な要素や情報を見落としてしまう可能性があります。また、判断ミスを誘発しやすいデメリットもあります。そのため、自分の思考を疑うことや情報収集に手間と時間をかける必要があるでしょう。

人間は、常にさまざまな思考を行いながら生活していますが、一度に複数の思考を巡らせることは苦手です。たとえば、あしたの夜ご飯のメニューを考えながら、昨日の夜に何を食べたかを思い出すことは、かなり難しいでしょう。これは、人間には複数のことを同時に並列処理できるキャパシティに限界があるためです。

キャパシティには限界があるため、すべてのことを同時に処理することは難しく、判断に時間を要します。ヒューリスティックな判断をすることで、労力をかけずに素早く判断できます。つまり、ヒューリスティックは、同時に並行処理することが苦手な人間という生き物にとって、有効な思考法といえるでしょう。

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