
ウィンスリー
黒瀬 雄一郎 代表取締役 ヘッドハンター
デジタル化の加速により、マーケティング職の採用市場は大きな転換点を迎えています。従来の勘と経験に依存した手法から、データドリブンな戦略立案・実行・検証を一貫して担える人材への需要が急速に高まっています。
しかし、すでに完成されたスキルセットを持つ即戦力はいませんので「次世代マーケティングの共創者」としての資質を重視する企業が増加しています。
AI活用やデータ分析の実務経験が浅くても、新技術への学習意欲と変化への適応力を評価する求人が目立ち、特にスタートアップから大手企業まで、マーケティング部門のDX推進を牽引できる「変革パートナー」の獲得競争が激化しています。
求職者側も企業選択の軸が変化しています。デジタルネイティブ世代の若手層は、独学でデジタルマーケティングやデータ解析スキルを習得し、AI活用に積極的な企業を志向する傾向が強まっています。
一方、豊富な実務経験を持つベテラン層も、従来の専門性に新技術を掛け合わせたスキル転換を図り、イノベーティブな企業文化を求めています。両者に共通するのは、旧来の組織体制ではなく、実験的な取り組みを評価する風土への期待です。
採用成功の鍵は、まず自社のマーケティングDXの現在地と将来ビジョンを求人票で明確に示すことです。「現在はTableauでの基本分析が中心だが、2年以内に統合データ基盤を構築しHubSpotと連携したリードナーチャリングを実現したい」といった具体的なロードマップを提示することで志向性の合致した候補者へのアプローチが可能です。
面接では、ツール普及により「ツール活用=マーケティング能力」という誤解が生じがちですが本質を見誤ってはいけません。マーケティングの真の目的は売上を継続的に向上させる仕組みを整えることです。
ツールスキルではなく、「なぜその戦略を選択したのか」「どう企業成長に貢献したのか」という思考プロセスを深く掘り下げることが重要です。候補者の本質的理解度と問題解決姿勢こそが、真の採用成功を導く判断基準です。