ジェイ エイ シー リクルートメント
水上 悠一 アカウンティング&ファイナンス第1ディビジョン部長
海外事業を展開する日系企業の人事関連の求人は「グローバル化」がキーワードとなっています。人事におけるグローバル化は、具体的にグローバル人事制度、グローバルモビリティ、ビジネスパートナー(HRBP)体制など、これまで日系企業に仕組みとしてなかったものを中途採用で即戦力となる人材を採用し、補強もしくは構築する動きです。
また、単に人事組織の語学力を高める目的だけでなく、異文化の理解や積極的な海外拠点と円滑にコミュニケーションできる体制構築も重要なポイントとなっています。
しかし、グローバル人事制度を完全に構築できている企業は極めて少ないことが現状であるため、語学力が高く外資系企業でのHRBPの経験や、日系企業での海外駐在時の人事戦略・制度構築の経験を評価し採用されるケースが増えており、年齢層は30代よりも経験が豊富な40代が多いです。
直近では、日系大手メーカーが外資系企業のHRBPやマネジメントクラスの人材を採用したことで、早期のポジションの充足と体制構築に成功した事例もあります。上記のような動きは昨年までは業界の最大手企業が中心でしたが、今年に入ってからはTier2企業にもグローバル化に伴う人事ポジションの募集が広がっています。
求職者の動向でポイントとなるのは、海外駐在から帰任した後の方々の動きです。海外駐在からの帰任後のポジションやキャリアプランはどの企業でもまだ模索状態であることが多く、本人にとって帰任後の仕事を物足りなく感じるケースがあるため、帰任後半年以内で転職の相談に来られるケースが増えています。
求職者に直接話を伺うと、国内での担当業務と異なり、海外では社員数も少なく現地法人の社長と直接接点を持てることが多く、経営に近いポジションのやりがいや裁量権の重要性を実感できたとの声が聞かれます。駐在時と帰任後のギャップが転職のモチベーションになることは、中途採用の強化、リテンション対策の双方で重要な観点であると言えるでしょう。