アライとは「(人を友情などで)結び付ける」、「支持者」などを意味する英語の「ally」を語源とする言葉で、「LGBTを理解、支援する人」を指します。LGBTはレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性別にとらわれない性別のあり方を持つ人)といった性的少数者を表す総称です。最近はSNSなどで「アライ(ally)」だと自己紹介する人を見かけるようになりました。
アメリカでLGBT当事者を支援し、同姓愛に対する嫌悪や偏見を持つ価値観をなくそうとする「Straight Alliance(ストレート・アライ)」の活動が盛り上がり、これらを支持する人がアライ(Ally)と呼ばれるようになったのが始まりです。そのため自身はLGBTではなく、LGBTの人たちに共感して活動を支援する人をストレートアライと表現しますが、最近は自分がLGBTでもアライになろうという動きが広がっています。LGBTの当事者でも自分とは違うほかのセクシャリティーを十分に理解しているとは限らず、LGBT当事者同士で誤解を生むことを避けるためにお互い「アライ」を表明しようというものです。
アライになるにはあらゆる価値観に向き合う気持ちがあれば「わたしはアライです」と表明せずとも日常生活のなかで示すことができます。それまで友人や知り合いの子どもを「お嬢さん」「お坊ちゃん」「息子さん」と使い分けて呼んでいたならば「お子さん」に統一しましょう。「男らしい」や「女らしい」」といった表現をやめて名前で「○○さんらしい」と言うことによって相手の価値観を尊重する思いが伝わります。また自分のセクシャリティーに悩んでいる人がいたら、話を聞いてあげるだけでもアライとしての役割を果たしたことになります。 日本の企業でもアライの存在が注目され始めており、たとえば日本マイクロソフトはLGBTの社員が差別されることなく生き生きと働けるコミュニティを実現するなど、環境作りに取り組んでいます。ただダイバーシティ(多様性)を目指す企業が増えるなか、女性、障がい者、外国人、高齢者などに比べると性的マイノリティへの対応はまだ十分とはいえません。もっとアライの考え方を取り入れる必要性がありそうです。