ATSとは、Applicant Tracking Systemの頭文字からなる略語で採用管理システムを指した人事用語です。英語のapplicantは「志願者」や「応募者」、trackingは「追跡」を意味するように、ATSは「就職希望者の動向を追跡して管理する」ことに優れたシステムです。採用活動を行うにあたり応募者それぞれの情報や立ち位置を一元管理できるため、導入する企業が増えています。
ATS(採用管理システム)を導入することにより「求人管理」(採用ホームページ作成、複数の求人広告を管理、求人・応募・面接のつながりを管理)、「情報管理」(履歴書と応募者の情報を管理)、「選考管理」(面接と選考の進捗状況を管理、内定通知の管理)などの一括管理が可能になります。企業における管理業務や品質管理の効率化をはかるためのマネジメントシステムとして「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」を繰り返すPDCAサイクルは有名ですが、ATSを用いることによりPDCAの展開に役立てることができます。
人事としては採用業務を自動化することで効率を上げることも可能ですが、さまざまな種類のATSがあるので適したものを見極めて導入することが必要です。まず自社の規模や採用状況とATSの機能がマッチしているかよく調べましょう。中小企業が大企業に向けたATSを導入すると逆にコストがかかりすぎるかもしれません。どのような機能があってどう操作するのか、無料デモ体験できる場合は本当に使いこなせるのか試してから決めましょう。またソフトをPCにインストールするタイプとインターネットにつなげて使うクラウド型があり、PCを固定しない環境ならばログインすればどのPCからでも使えるクラウド型の方がよいかもしれません。
ほかにも新卒採用、アルバイト採用、転職による中途採用、社員の推薦によるリファラル採用などそれぞれに特化したATSがあるため、自社の状況に照らし合わせて選ぶことにより最大限に活用することが可能です。近年は新卒者に向けたエントリーシート(ES)管理や採用セミナーの開催から、キャリアアップのために転職する求職者からの応募など人事の役割が多様化しているだけにATSが果たす役割は大きいといえるでしょう。