委嘱(いしょく)とは、「特定の仕事を一定期間、他人に任せること」です。特別な立場をお願いする場合や、特定の技術を持っていないと難しい仕事を依頼する場合に使われます。ビジネスシーンでは、たとえば「経営コンサルタントに研修講師を委嘱する」「公認会計士に監査役を委嘱する」といった使い方が多いでしょう。
なお、委嘱される側が仕事を受けることは「受嘱(じゅしょく)」と言います。また、委嘱の対義語は解嘱(かいしょく)で、委嘱していた仕事(任務)を解くことを指します。
委嘱と似た言葉として、次の言葉も挙げられます。
- 委託(いたく)
- 嘱託(しょくたく)
委託も特定の仕事を他人(他社)に頼むことを指します。委嘱が比較的特別なスキルを要する仕事を依頼することに対し、委託は頼む仕事の種別を問わず使われることが多い言葉です。そのため、「業務委託契約」などの形で、広くビジネスシーンで使われています。
例文としては、「経理処理業務の一部を委託している」「掃除は清掃会社に委託している」などが挙げられます。なお、弁護士に仕事を依頼することは、法律用語として「委託」が使われます。
嘱託は、特定の仕事を外部の人間(正規職員や社員以外の人)に任せることを指す言葉です。一般的には、「嘱託産業医」「嘱託職員」などと複合語で使われることが多いでしょう。
産業医とは、常時50人以上の従業員が働く事業場で選任が義務付けられている医師です。多くの場合、事業所近くで開業している医師と契約することになります。これは会社が医師に産業医を嘱託するということです。
嘱託職員とは、定年退職する社員を再雇用する場合に使われる言葉です。定年後の社員を嘱託社員にする場合、定年前と給与条件などを変更できるため、多くの企業で取り入れられています。(ただし、2020年施行の同一労働同一賃金に基づき、嘱託職員が正社員と同じ業務を行う場合には、不合理な格差をつけることはできません)