演繹

演繹(えんえき)とは、2つ(複数)の事象を関連させ、そこから結論を導く思考法です。演繹は論理学の考え方の1つで、大きな前提から結論に辿り着きたい場合に向いています。

古代ギリシアの哲学者アリストテレスが提唱した有名な「三段論法」は、演繹的な考え方の代表例です。次の三段論法を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

  • 全ての人間は死ぬ…大前提
  • ソクラテスは人間である…小前提
  • ゆえにソクラテスも死ぬ…結論

演繹をビジネスシーンにあてはめると、次の様になります。たとえば、「A君は20代だ」という大きな前提があるとします。そして、「A君は給与より働き甲斐を重視している」という小さな前提がある場合、「20代の若者は給与より働き甲斐を重視している」という結論を導くことが可能です。この一連の思考法を演繹法と呼びます。ここから「X社は20代の求職者を獲得したい」という状況の場合、「給与よりも働き甲斐を訴求した求人広告を出そう」と意思決定することは、演繹的なビジネス思考といえるでしょう。

大きな前提から結論へ進む演繹に対し、複数の事象から結論へ進む思考を「帰納(きのう)」と呼びます。十分に多くのデータが得られている場合、帰納法で考えたほうが意思決定の精度は高くなるでしょう。

たとえば先ほどと同じく、「X社は20代の求職者を獲得したい」という状況の場合で考えてみます。20代のA君は「給与より働き甲斐を重視している」ことが分かりました。一方20代のB君は「給与より残業が少ないかを重視している」、20代のC君は「給与よりリモートワーク可能かを重視している」のような場合、帰納的な考え方で求められる結論は「20代は給与以外に重視していることがさまざまある」ということです。ここからさらに、20代が共通して仕事に求めていることがないか調査を進めることは、帰納的な思考プロセスといえます。

演繹では前提が間違っていると、結論も間違ってしまいます。そのため、演繹的にロジックを組み立てる場合は最初に結論を決め、その結論を補強するために普遍的な事象(大前提)を肉付けしていくイメージで用いるとよいでしょう。

また、演繹と帰納は、どちらが優れているということはなく、両者にメリット・デメリットがあります。それぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けるようにしましょう。

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