解雇とは、会社の都合により雇用契約を解除する処置のことを指しています。従業員側の都合で雇用契約を解除する場合は退職になります。解雇には種類があり、無断欠勤や違反、病気など労働者の責務による場合は普通解雇、会社の経営が傾いたことで事業整理のためにおこなわれる整理解雇、不祥事を起こした従業員に対して重すぎる罰になることを案じておこなわれる諭旨解雇、窃盗や傷害など会社に大きな損害を与えた者に対して生涯的な制裁としておこなわれる懲戒解雇があります。
従業員と会社の信頼関係が崩壊した場合におこなわれるのが普通解雇ですが、後に尾を引くダメージはなく処分方法の中では最も軽い処分になります。整理解雇は経営の傾きを改善するためにおこなわれますが、従業員に直接的に非があることは考えづらいため、整理解雇をおこなうには客観的に判断できる理由があり、解雇しないよう努力していること、十分な説明がなされていることなどが実施の条件になります。諭旨解雇は企業側の配慮がなされているため、恩赦の気持ちをこめて退職金が支払われるケースもあります。懲戒解雇の場合は退職金が大幅に削減されることに加え、懲戒解雇の旨を新たな就業先に伝える必要があり、生涯背負っていかなければならない処罰となります。
解雇を実施する際は、不当解雇にならないよう、丁寧に手順を進めていく必要があります。解雇の流れとしては、まずは従業員に退職を促す退職奨励から始めます。従業員に責任のある事態が発生したとしても、注意などなくいきなり解雇を通知することはしません。退職奨励であれば履歴書に会社都合と記載でき、失業給付をすぐに受け取ることも可能です。
続いて不当解雇に当たらないよう要件を確認し、関係者と情報共有をするとともに、解雇通知書を作成します。解雇を通知するのは書面に記載の解雇日から30日以上前でなくてはなりません。従業員が退職までに仕事を整理する時間と次の就業先を見つけるための時間を十分に確保できるよう、配慮する必要があります。従業員の退職が決まったら、社内でも解雇の旨を周知することになりますが、事情を知らない他の従業員の不安を抱かせ解雇対象の従業員の名誉を傷つけないために、氏名などは伏せて公表するようにします。