ホリゾンタルとは「地平線上の」や「水平な」「横の」を意味する英語「horizontal」を語源としており、人事用語では「ホリゾンタル・リーダーシップ」として使われるほか、SaaS(Software as a Service)業界には「ホリゾンタルSaaS」、流通業界には「ホリゾンタル・ディスプレー」などのビジネス用語があります。多くの場合、横・水平方向を表わすホリゾンタル(Horizontal)に対して、縦・垂直方向を表わすバーティカル(Vertical)という言葉が使われます。
リーダーシップという概念は20世紀初頭のアメリカで体系化が進み、ピラミッド型の組織でリーダーがトップダウンにより指揮するバーティカルな手法が主流でした。ホリゾンタル・リーダーシップとはヨコのつながりに目を向けたマネジメントにより、新しい発想を導き出して課題を解決しようというもので、近年の情勢変化に対応するリーダーシップとして注目されています。
グローバル化が加速して多様化するニーズに対して、リーダーが自身の経験による専門性を発揮して組織を引っ張る従来のトップダウンでは対応できなくなる場面が増えました。上下関係ではなく、組織の枠を超えたヨコのつながりによる様々な人材がアイデアを出しやすい環境を作ることで多様なニーズに応えることが可能となります。そのようなタテ型の発想にとらわれないコミュニケーションに適したマネジメント手法として、ホリゾンタル・リーダーシップを取り入れる企業が増えています。
トップダウンによるタテ型のリーダーシップに対して女性ほど「自分は人の上に立つ自信が無い」と敬遠しがちですが、ホリゾンタル・リーダーシップに必要な共感し、調整するコミュニケーション能力は女性のほうが高い傾向にあるといわれます。ホリゾンタル・リーダーシップの意義を理解してもらうことにより女性リーダーが働きやすい環境づくりにつながれば、企業の課題でもある女性の活躍推進や女性管理職登用にも効果的といえるでしょう。
なお最近はリーダーが奉仕精神に基づき一方的に命令するだけでなく部下を信頼して協力し合う「サーバントリーダーシップ」も提唱されており、「バーティカル型」にはなりますが考え方としてはホリゾンタル・リーダーシップと似ています。