マタハラ

マタハラとは「産科(病院)」「妊婦の(ための)」を意味するマタニティ(maternity)と、「迷惑行為」「嫌がらせ」を意味するハラスメント(harassment)を合わせた造語「マタニティハラスメント」を略したものです。社会問題化した「セクシャルハラスメント」(セクハラ)は1989年の新語・流行語大賞で金賞に選ばれましたが、時代とともにハラスメントの概念が浸透して、2014年は「マタニティハラスメント」がトップ10に入選しました。なお法令では「マタニティハラスメント」「パタニティハラスメント」「ケアハラスメント」を合わせて「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」と呼びます。

女性が妊娠や出産したことによって職場で直接的、間接的に嫌がらせを受けることや、解雇や自主退職の強要など不利益を被る不当な扱いを受けることがマタニティハラスメントとされます。たとえば男性の上司が女性社員の肩を揉んでコミュニケーションをとろうとするような、相手に嫌悪感を抱かせる行為が「セクハラ」として問題視されるように、妊娠を報告した女性社員に「忙しい時期なのに」と皮肉を言うことで「マタハラ」に該当する可能性があります。ほかには採用面接で「子どもができても続けられますか」と質問することもマタハラとされた事例があります。

2013年に行われた「マタニティハラスメント(マタハラ)に関する意識調査」の結果報告によると、マタハラが起きる原因として最も多かったのは「男性社員の妊娠出産への理解不足・協力不足」でした。また5割以上の女性が「産休育休の権利は法律で守られている」ことを「知らなかった」としており、在職中に妊娠が分かった女性のうち6割強が「仕事と妊娠・子育てへの不安を感じた」と回答しました(連合非正規労働センター『マタニティハラスメント(マタハラ)に関する意識調査』より)。

女性を対象としたマタニティハラスメントに対して、「パタニティ(父性)ハラスメント」は父親となった男性社員が育児休業制度等を利用した時などに受ける嫌がらせをいいます。介護と仕事を両立させるための制度が利用し難い職場環境や不利益な扱いを受けることを「ケアハラスメント」と呼び、厚生労働省の指針では事業主にこれら3つのハラスメントの相談窓口を1本化することが望ましいとしています。

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