オープンブックマネジメント

オープンブックマネジメントは会社の財務状況を従業員と共有し、透明性を確保することで、企業と従業員の信頼を高めるための経営手法です。事業運営のためには営業ノルマを課して成績を上げることが大切ですが、それには従業員と企業の信頼構築が欠かせません。従業員が企業を信じられるからこそ仕事にも身が入り、組織全体で努力の方向性を一致できた結果として収益を上げられるからです。組織として一体感を持って事業に取り組み、企業を信じてモチベーション高く仕事に従事してもらうための手段のひとつが、オープンブックマネジメントです。

上場企業はすべて財務状況が公開されており、透明性の高い経営が制度としてできているため社会からの信頼を獲得しています。一方で中小企業の場合は、財務状況の公開が義務ではありません。経営が苦しいからとノルマを課せられているのに、経営者は毎晩会食で会社に来ないことがあるといった企業も多くあることでしょう。財務状況を公開しないからといって罪に問われるわけではありませんが、経営陣に何かを隠されることがわかると従業員の間で不信感が広がり、不安がある状態では仕事へのモチベーションがわかず生産性を高めることができません。

オープンブックマネジメントを導入するメリットは、従業員と企業との間に信頼が生まれ、安心して仕事に取り組めることで生産性向上につながる点です。もちろん従業員全員にすべての情報を公開する必要はありません。部署や人を選んで財務についての教育や権限委譲をおこない、それぞれに合った情報公開をすることで十分に信頼を得ることができます。

また、企業の財務状況を確認することで従業員は経営者目線に立つことができ、自社の課題を見つけ、自発的に解決に向けたアクションを取れるようになります。ただし、オープンブックマネジメントを効果的に実施する際には注意点があります。

たとえば、入社したばかりの新入社員に企業の財務状況を示す貸借対照表や損益計算書をパッと見せても何のことかわかりません。突然の情報公開は、不信感を抱かせ逆効果になる恐れがあります。研修などをおこない、習熟度に合わせた情報公開をおこなうことが大切です。また、財務情報をそのまま公開するのではなく、経営方針と財務情報を関連づけて解説するなどして伝えることで、従業員の理解も深まります。

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