リスクヘッジ

リスクヘッジは、「何か悪いことが起こるおそれ」「危険性」を意味する英語「risk」と、「生け垣」「損失・危険などに対する防止策」を意味する英語「hedge」に由来する和製英語です。「riskhedge」と英語表記しても海外では通じません。本来は、金融取引において株価の下落による損失を最小限に抑えるために対策を打つことを「リスクヘッジ」と呼んだことが起源とされます。

近年はビジネス用語として使われるようになった「リスクヘッジ」ですが、日常生活でも耳にすることが増えました。「リスクマネジメント」や「リスクテイク」など似たような言葉があるため、それぞれの意味を正しく理解して用いる必要があります。

株式投資では、同じ銘柄にすべてを投資せず複数の銘柄に分散投資をします。ひとつの会社の株価が下がっても、ほかの株価が上がれば大きな損失を出さずに済みます。金融業界では、そのようなリスクヘッジが行われます。

企業では資金調達や負債などにおける「財務リスク」、災害やテロ・戦争などの影響を受ける「環境リスク」、訴訟を起こされる「法務リスク」、会社運営の根幹に関わる「経営リスク」などリスクヘッジの対象は多岐にわたります。

特にインターネットの普及とともに、技術が急速に進歩したことから「ITリスク」は深刻で、機密情報や個人情報の漏洩に対するリスクヘッジは企業にとって重要な課題といえるでしょう。一方では終身雇用制度の崩壊とともに、転職によるキャリアアップを望む社員が増えたため「人事リスク」に悩む企業が少なくありません。離職防止対策や人材確保といったリスクヘッジが必要となってきました。

リスクヘッジと混同しがちなリスクマネジメントは「危機管理」を意味しており、リスク対策のプロセス全体を指します。リスクヘッジはそのプロセスの一部といえます。リスクマネジメントは多くの場合、プロジェクトを成功へと導くための手法として用いられます。 リスクテイクも似たような言葉ですが、危険性をわかったうえで、あえてリスクを受け入れた行動をとることによりリターンを期待する手法です。リスクヘッジとは相反する考え方ですが、企業にとって大きな利益が期待されるときにはリスクテイクを行う判断を迫られます。リスクテイクを適切に判断するには、リスクヘッジのノウハウで状況を把握しながら行うため、双方のバランスをとりながら進める必要があります。

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