トランザクティブメモリー

トランザクティブメモリー(Transactive Memory)とは、だれがどのような知識を持っているかを把握することです。直訳では、Transactiveは対人交流の・相互作用の、Memoryは記憶となり、「対人交流的記憶」といった意味があります。

組織の全員が同じことを知っていることが重要なのではなく、だれが何を知っているかを組織の全員が把握していることが重要であることを、アメリカの社会心理学者であるダニエル・ウェグナーが提唱しました。個人ではなく、集団で情報と記憶を共有する方法で、組織全体のパフォーマンスに大きく影響するといわれています。

トランザクティブメモリーの理念は、ダニエル・ウェグナーによって行われた実証実験の結果がもとになっています。実験では、カップルそれぞれがジャンル分けされた文章からいくつかを選んで読みます。一定時間が経過した後、文章にでてきた単語をいくつ記憶しているか確認するテストを行い、カップルごとの回答数が成績になります。文章の選択や読む作業は一人ずつ行い、相手がどのジャンルを選択したかはお互い知り得ません。

本物のカップルや、運営側が指定したカップルの対照実験で、本物のカップルのほうが成績はよいという結果が得られました。この結果は互いの得意なジャンルを理解して、高得点を狙えたことを示唆しています。

一人が記憶できる情報量には限界があるため、全員が同じことを覚えて記憶することは効率的はでありません。それぞれの人材が、それぞれの分野の専門的知識を有することで知識の質は高まります。さらに、必要な情報がどこにあり、だれが持っているかを把握できるような仕組みを設けることで、組織全体の知識量は深く、効率的に活用できます。

トランザクティブメモリーの活用方法としては、情報を分類して蓄積し、検索できる機能があるツールを設けることです。利用する際のルールを設定して、どのような情報をどのように発信すればよいか明確化させます。せっかくツールを設けても活用できなれば意味がないため、情報交換しやすい環境作りが大切です。 組織全体や従業員が過去の経験を学習することや新しい能力開発は、組織全体の成長につながります。トランザクティブメモリーは業務の効率化や、将来的に不足する労働力を補う方法として大きな効果をもたらします。

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