ターンアラウンドとは、ビジネスシーンで事業の再生や抜本的な改革を意味する言葉として使われています。本来の意味としては進む方向の転換や事態が変化することなどがあり、ビジネスに当てはめて使うとしたら、事業における現状に変化をつけたいときにターンアラウンドに向けた対策が実施されます。
ターンアラウンドの代表例としては、日本航空を再生させた元京セラ名誉会長の稲盛和夫氏の事例、日本マクドナルドを低迷から救済した元マクドナルド カナダ出身のサラ・カサノバ氏の事例があります。
日本航空は日本を代表する航空会社ではありましたが、2008年のリーマンショックの影響でずさんな経営体制があらわになりました。政府主導のもと業務再建に向けた調査が実施されましたが、アメーバ経営で京セラを世界に押し上げた手腕を持つ稲盛会長により細部まで改革のメスが入れられました。需要のない大型機の削減、人件費削減のための大型リストラ、採算の取れない路線の見直しなど、日航の脆弱な経営体質を隅々まで刷新させていきました。結果的に2年で業績をV字回復させ、前代未聞の事業再生として語られています。
日本マクドナルドの場合は鶏肉の産地偽装や異物混入の発生などで、低所得者の溜まり場のようなイメージが植え付けられました。これまでの数値のみを評価する運営基準から、現場主義に移行し、店舗一つひとつを改善しながら立て直しをはかりました。マクドナルドのフランチャイズ体制を構築した下田氏とマーケターの足立氏の協力の元、マクドナルドのイメージを一新させ36ヶ月連続成長という偉業を成し遂げました。
日本はバブル以降経済が低迷しており、デジタル化やグローバル化の波で経営が複雑化しています。解決の糸口が見つからない状況が慢性的に続いているため、抜本的な改革を遂行できるターンアラウンドマネージャーの需要が高まっています。具体的には、企業の資産売却や人員整理、取引条件の改変などがターンアラウンドマネージャーとしての仕事です。
また、新型コロナウイルスの影響により経営破綻に陥る中小企業は多いため、政府も事業再編のための改革をおこなう企業に対しては、規模の大きさを問わず補助金や助成金などでサポートをおこなっています。