2022年に全国で休業・廃業、解散を行った企業は前年から2.3%減となる5万3426件となったことが帝国データバンクの全国企業「休廃業・解散」動向調査(2022年)で明らかとなった。
2022年に全国で休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む、以下「休廃業」)は前年から約1300件(2.3%)減少の5万3426件となった。22 年初頭から 3.66%の企業が、休廃業で同年中に市場から退出・消滅した。
21年に続き3年連続で減少し、コロナ前の19年からも約6000件少ない低水準で推移した。
2022年に休廃業した企業のうち「資産超過型休廃業」は63.4%を占めた。一方、休廃業する直前期の決算で当期純損益が「黒字」だった割合は54.3%となり、半数超が黒字休廃業だったものの、その割合は過去最低を更新した。
この結果、「資産超過」かつ「黒字」の状態で休廃業した企業の割合は全体の15.1%にとどまり、16年以降で最も高かったコロナ禍直後の20年(17.0%)から約2ポイント低下したほか、前年(16.0%)からも約1ポイント低下した。
現況について帝国データバンクでは、「財務内容やキャッシュなどある程度の経営余力を残している企業で、事業再建を含め将来を悲観し、自主的に会社を休業・廃業、あるいは解散を行う“あきらめ休廃業”の機運が高まっている可能性がある」と指摘する。
業種別にみると、前年から減少したのは、「サービス業」(6342件)、「小売業」(3419件)、「卸売業」(3143件)、「製造業」(2734件)、「運輸・通信業」(606件)の5業種。
旅館・ホテルや非営利団体(NPO)などを含む「サービス業」では、増加に転じた前年から一転して大幅な減少となったほか、前年からの減少幅は 2016年以降で最大だった。
食品スーパーなど「小売業」、「卸売業」などでも大幅な減少が目立ったものの、減少幅は前年から縮小した。
一方、「建設業」(6936件)、「不動産業」(1802件)の2業種は前年から増加した。
建設業は 2016年以降で初めて増加に転じたほか、不動産業は前年に続き2年連続での増加となった。
発生率を表す休廃業・解散率では、最も高い業種は「小売業」の2.06%となったが、前年からは低下した。全業種で最も低いのは、「運輸・通信業」の1.26%だった。