ゼネラルパートナーズ
工藤 賢治 atGP事業本部 シニアコンサルタント
障害者雇用促進法では、事業主に対し常時雇用する従業員の一定割合以上の障がい者を雇用すること(法定雇用率)を義務付けています。同法は5年ごとに見直されており、2024年4月には現在の2.3%から2.5%へ、2026年7月には2.7%へと段階的に引き上げられることが決まりました。
また、2025年4月からは障がい者の就業が困難であると一部の業種などで認められている除外率を一律に10ポイント引き下げることも決まっています。
こうした動きを受け、多くの企業で障がい者雇用への取り組みを見直す動きが始まっています。特に雇用率引き上げの影響を大きく受ける従業員数の多い企業では、数年先を見据え、受け入れ体制の強化に取り組み始めています。
これまで以上に幅広い層の求職者を受け入れるため、障がい理解研修、業務設計、定着支援など包括的なコンサルティングサービスへの問い合わせも増えてきています。
求職者も就職・転職活動が活発化しています。「令和4年障害者雇用状況の集計結果(厚労省)」によれば、新規求職申込件数は23万件超とコロナ禍を上回り過去最高を更新。中でも精神障がい者の伸びは顕著で、就職件数は前年比17.8%伸び、その数は身体障がい者の約2.5倍になっています。
このように右肩上がりの障がい者雇用数ですが、先に触れた障害者雇用促進法の2023年4月からの改正では、さらに事業主の責務として「雇用の質の向上」も明確化されました。そのため、障がいのある労働者へやりがいのある仕事と必要な支援を提供し、能力に応じた処遇やポストを用意することが強く求められるでしょう。
障がい者雇用の取り組みを「受動的なもの(義務)」から「能動的なもの(経営戦略)」に転換し、本業を推進するための労働力、あるいはサービスの開発・PRなど相乗効果を高めるものとして進める転換期だと考えています。
そして、こうした改善は短期間で実現できるものではなく、知見のある専門家も交えながら全社で取り組んでいくことが求められていると思われます。
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