「後継者難倒産」の1月から11月の累計件数が初の500件超えとなっていることが、帝国データバンクの全国企業倒産集計で明らかとなった。
後継者不在のため事業継続の見込みが立たず倒産した「後継者難倒産」は、2023年11月に46件発生した。
1月から11月の累計件数は509件となり、12月を残して年間の最多件数を更新、初の500件超えとなった。
【後継者難倒産 件数推移】
2013年(1-12月) 411件
2014年(同) 332件
2015年(同) 375件
2016年(同) 354件
2017年(同) 341件
2018年(同) 401件
2019年(同) 460件
2020年(同) 452件
2021年(同) 466件
2022年(同) 476件
2023年(1-11月) 509件
主因別にみると、厳しい経営状況が続き後継者が事業を継ぐことをためらい、
倒産に至った「販売不振」(269件)が大半を占めた。また、「経営者の病気、死亡」(210件)により経営者が不在になる、または後継者が継いだものの事業継続が困難になったケースも目立った。
帝国データバンクが算出した2023年の「後継者不在率」は53.9%と、前年の水準を6年連続で下回るなど、「後継者問題」は改善傾向が続いている。
その一方で、事業承継「適齢期」とされる60歳代の代表者の後継者不在率は 37.7%、70歳代も約3割で後継者が決まっていない。
この状況について帝国データバンクは、「代表者の高齢化が進むにつれ、病気や死亡により事業継続がままならなくなるほか、“後継者育成”が頓挫し、承継完了が間に合わずに事業継続を断念するリスクは高まってきている」とした。
また、今後の動向について帝国データバンクでは「後継者が不在のなか、十分に業績が改善しないままゼロゼロ融資の返済や各種コスト負担などに追われる企業を中心に、後継者難倒産は今後も増加する可能性が高い」と分析する。
※「後継者難倒産」は、法的整理(倒産)となった企業のうち、後継者不在のため事業継続の見込みが立たなくなったことが要因となった倒産を集計した。