ITエンジニアを確保するためには「年収や報酬」の改善が最優先

ITエンジニアを確保するためには年収や報酬の改善が最優先ーーー。こんな実態が、ITエンジニアの人材紹介を行うアイムファクトリーの調査で明らかになった。(文:日本人材ニュース編集部

日本人材ニュース

アイムファクトリーが転職意向のあるITエンジニアに、転職先企業を選ぶ際に重視する内容を聞いたところ、「年収や報酬」(53%)が他の内容を引き離してトップだった。

転職先企業を選ぶ際に重視するポイント(上位5項目、複数回答)

年収や報酬53%
キャリアアップや新しいスキルの習得機会39%
企業の安定性や将来性34%
フレキシブルな働き方の有無33%
ワークライフバランス32%

ITエンジニアの採用事情に詳しい人材紹介会社ギークニアの齋藤理代表は、2023年の時点で「PM・ITコンなどの上流エンジニアは、企業間で札束での殴り合いのような獲得競争」と説明していたが、多くの企業が求めるITエンジニアを確保するためには、年収や報酬の改善が最優先であることが今回の調査結果からも浮き彫りになった。

「年収や報酬」に次いで「キャリアアップや新しいスキルの習得機会」(39%)が挙がり、実際に転職を考え始めた理由を見ると「スキルアップや新たな経験を積みたい」(36%)、「現在の給与や待遇に不満がある」(34%)が上位に入っている。

転職を考え始めた理由(上位5項目、複数回答)

スキルアップや新たな経験を積みたい36%
現在の給与や待遇に不満がある34%
働き方の柔軟性を求めている29%
現在の仕事にやりがいを感じられない28%
職場の雰囲気や人間関係に問題を感じている27%

転職先で求める働き方では「週1~2回のハイブリット勤務」(41%)を求める人が多く、魅力を感じる福利厚生制度も「リモートワーク環境の整備(手当、デバイス支給など)」(47%)が最多となっている。

調査を行ったアイムファクトリーの久利可奈恵代表は、2024年7月の採用動向レポートで「フルリモート、リモートと出社を合わせたハイブリット型など、IT人材の働き方や働く環境に柔軟性を持っている企業」に人気が集中していると解説しており、ITエンジニアを確保したい企業は対応が必須だ。

また、人材紹介会社アスシアの小椋将樹社長は、IT分野の採用を成功させるには、次のような「長期と短期の両輪の施策が必要」と説明している。

短期策:
①内定辞退などを防ぐために賞与など実年収が下がらない配慮を行う(内定まで選考をすすめている関心の高い人を採用できる可能性をひきあげる)
②担当する職務などを明確にする(今でも曖昧な仕事内容の説明が多いが、入社後の明確な案内は重要)
③面接担当者のトレーニングを実施する。面接内容を選考中心ではなく自社のアピールを優先して魅力を伝える(面接を担当する多くの人は、人が多い時代を経験した古い選考型面接を引きずっていることが多い)

長期策:
①年収レンジを市場同等以上にする
②40代後半までではなく、60歳までの採用を実施する
③年齢の高い人が部下や上司になっても活躍する風土・制度の改革を行う
④自社の魅力を発信し、採用ブランド(採用マーケティング)を高める

転職市場では「スキル・経験をもつ人材の数が少ないため、需給がバランスしていない状況」(アクシスコンサルティング伊藤文隆社長)で、特にニーズが高いIT分野の人材は争奪戦が続きそうだ。

「IT技術者の転職意向度調査」の詳細はこちら
https://www.aim-factory.com/whitepaper/63nXKFtO

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