
KIRINZI
高橋 康博 代表取締役
【PROFILE】新卒で大手人材総合サービス会社に入社。求人メディアの法人営業、新規エリアの営業組織立ち上げなどを経験した後、大手人材会社のエグゼクティブサーチに参画。豊富な転職支援実績を誇り、最上位のエグゼクティブコンサルタントとして従事。法人向け顧客満足度調査では、コンサルタントの中で最高評価を複数回受賞。
この数年、不動産業界、特に総合デベロッパー各社の業績は非常に好調に推移しています。それに伴い、各社でベースアップも進み、中堅から大手にかけて給与水準の差が以前ほど大きくなくなってきました。
もともと不動産業界は、他業界と比較しても給与水準が高い業界であったことから、現在は「同業間で年収を上げるための転職」は以前より減少している印象があります。
実際に転職市場で動いている人材を見ると、単純な条件面ではなく、「どのような事業に携わりたいか」という戦略・方向性によって転職を検討するケースが増えています。
例えば、近年はエネルギーやインフラ領域へ注力する企業も増えていますが、その中で「より純粋に不動産開発に携わりたい」という理由から転職を検討する人材も見られます。
また、開発業務に関しても、積極投資を継続する企業と慎重姿勢へ転じる企業で二極化が進んでおり、開発人材が積極投資を継続する企業へ流れる傾向が強まっています。
加えて、大規模物件の竣工増加に伴い、リーシングやプロパティマネジメント領域における立ち上げ経験を持つ人材への需要も高いです。特に、単なる運営経験ではなく、物件運営体制の構築や初期運営フェーズを担った経験を持つ人材は、各社から高く評価される傾向にあります。
今後の採用市場におけるテーマとしては、主に3点が挙げられます。
1つ目は、異業界からの採用強化です。街づくりや大型開発が複雑化する中で、不動産経験そのものだけでなく、
プロジェクトマネジメント能力を持つ人材への期待が高まっています。そのため、公務員、商社、マスコミ、金融、メーカー、コンサル等、幅広い業界から異業界人材を積極採用する企業が増えています。
2つ目は、女性管理職候補の採用です。2030年・2040年を見据えた女性管理職比率向上の流れを背景に、外部から管理職クラス、あるいはその候補者を採用する動きが加速しています。特にこの層は採用対象が限られるため、今後さらに競争は激しくなると考えられます。
3つ目は、既存資産活用・コンバージョン領域の強化です。新築中心から、既存不動産を活かす方向へ各社の戦略がシフトする中、CRE、リノベーション、コンバージョンなどの経験を持つ人材への需要はさらに高まるでしょう。また、データセンターや大型複合施設等の開発増加を背景に、設備・電気分野に明るい専門人材へのニーズも強まっています。
今後は単なる専門性だけではなく、「事業を前に進められる人材」をいかに確保できるかが、各社の採用競争力を左右していくと考えています。












