【障がい者の中途採用】採用激化で求人票を出した翌週には複数の選考が進む状況は珍しくない

障がい者

リコモス
加藤 直也 取締役

【PROFILE】リコモスでキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーを兼任し、一気通貫で障がい者の就職・転職活動を支援。前職でも障がい者支援に特化した人材紹介会社でCA、RA業務を経験しており、キャリアアドバイザーとしては5年以上の実績。

法定雇用率が7月に2.7%へ引き上げられることを受け、採用競争は一段と激化しています。当社の支援現場でも、1人の求職者に対して複数企業の選考が同時進行するケースが増え、1週間で選考状況が一変する──そうしたスピード感が常態化してきました。

求人票を出した翌週には複数の選考が進んでいるという状況は、もはや珍しくありません。企業側には、従来以上に迅速かつ丁寧な採用対応と受け入れ準備が求められています。

こうした状況の中で、障がい者雇用を取り巻く議論は、単なる雇用人数の確保から「活躍できる雇用」の実現へと移りつつあります。5月、大手企業が障がい者雇用ビジネス業者を通じて形式的な雇用を行い、在宅勤務の障がい者に実質的な業務を与えず放置していた実態が報道されました。

就労管理を業者に丸投げし、本人と連絡すら取らないケースもあり、労働局が雇用企業への指導に乗り出しています。企業名が全国紙に掲載されたレピュテーションへの影響は大きく、雇用管理の形骸化が経営リスクに直結することを改めて示した事例となりました。

厚労省の研究会(令和8年2月報告書)も、①障がい者の能力発揮の促進②成果の事業活動への活用③適正な雇用管理④正当な評価と処遇への反映⑤雇用の安定──を「質」の中心的要素として明示し、数を揃えるだけの雇用から、障がい者が本来の能力を発揮できる仕組みへの転換を求めています。

制度改正の方向性は原点回帰です。裏を返せば、今こそ社内理解を深め、受け入れ体制を整備する好機でもあります。

特定の職種や障がい種別に限定するのではなく、既存業務の設計を見直し、受け入れ可能性を広げ、現場社員への理解も促進しておく。そうした地道な取り組みが、採用競争での優位性にもつながります。

「違い」が理解され、障がいを持った人が活躍する会社は、障がいを持たない社員も働きやすい環境です。「雇用率対策」から「人材戦略」へ。その転換を今から進めることが、来るべき制度変化への最善の備えとなります。

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