社外取締役とは言葉どおりの意味で、社外から迎える取締役のことを指します。 社外取締役は社内から昇格した取締役と違い、社内の利害関係にとらわれないため客観的に企業の経営状況をみることができます。投資家の目が厳しい欧米の企業では社外取締役を設置することが定着しており、近年は日本でも社外取締役制度を導入する企業が増えています。
日本における社外取締役は2002年(平成14年)度の商法改正により導入された制度で、2014年(平成26年)の会社法改正により大企業に社外取締役の選任を強く促し「社外役員としての独立性確保」や「社外取締役を置くことが相当でない理由の説明」が義務化されました。その背景には組織ぐるみによる不祥事を防ぐため、社外取締役や社外監査役など社外の管理者が経営を監視する仕組み「コーポレートガバナンス」(企業統治)の考え方があります。
経済産業省が2020年7月に策定した「社外取締役の在り方に関する実務指針」では、「社外取締役の5つの心得」を示しています。その概要は「心得1:社外取締役は経営の監督を最重要な役割として社長・CEOに対する評価及び指名・再任や報酬の決定を行い、必要に応じて交代を主導する」、「心得2:社内のしがらみにとらわれない立場から会社の将来を見据えて持続的成長に向けた経営戦略を考える」、「心得3:業務執行に関わらない独立した立場から、経営陣に対して忌憚なく発言・行動することを心掛ける」、「心得4:社長・CEOをはじめ経営陣と適度な緊張感・距離感を保ちながらもコミュニケーションを図り、信頼関係を築くことを心掛ける」、「心得5:会社と経営陣・支配株主等との利益相反を監督することを重要な責務と心得よ」といったものです。