アシミレーションとは、上司に対する部下の本音を引き出し、今後の円滑なコミュニケーションを築くための組織開発方法のひとつです。上司と部下の間を取り持つ役割としてファシリテーターを配置し、直接言いづらい悩みや意見を聞き出し、上司へフィードバックをおこないます。上司と部下のコミュニケーションを円滑にする手段としてスキップレベルという方法もありますが、スキップレベルの場合はファシリテーターを上司のさらに上の上司が担うことになります。アシミレーションでは他の部署など第三者の立場の者が担い、相互コミュニケーションのサポートをおこないます。
アシミレーションの実施が効果的なシチュエーションとしては、新しい上司が部署に着任したときや新たな企業方針を従業員に周知させたいとき、マンネリ化しているチームにテコ入れをしたいときなどがあります。特に新しい上司が部署に入って来ると職場の雰囲気が大きく変わるため、着任1ヶ月後など少し職場に慣れてきたタイミングで実施するケースが多くあります。
アシミレーションを実施するメリットは、コミュニケーションが円滑になることでチームとしての一体感が増し生産性が向上すること、上司と部下の価値観や考え方を共有することで信頼性が高まり、働きやすい環境が構築できることなどがあります。企業組織は人間関係で成り立っているため、職場でのストレスが軽減されれば業務により集中できるため、離職を防止する効果も期待できます。
アシミレーションは上司と部下(部下達)、ファシリテーターの三者でおこなわれます。まずは部下とファシリテーターだけの部屋で上司に対する意見や不満、悩みなどを聞き出します。ファシリテーターは情報をメモにとり、上司を入室させてフィードバックをおこないます。誤解などがあれば上司からも意見を伝えてもらいお互いの理解を深め、今後に向けてチームとしてどう動いていきたいかなどについて意見交換を実施します。複数の部下の意見を聞く場合は、匿名にすることで後々のトラブルを回避できますし、ファシリテーターには質問力がある人材を選出することでより効果的なやりとりができるようになるはずです。悪口の応酬にならないよう、建設的な意見を述べることを前提として実施することが重要です。