人事担当者や、採用に携わる方にとって、応募者に何を質問すると相手の本質をとらえることができるのかは重要な課題ではないでしょうか?本記事ではミスマッチを極力減らすための効果的な質問集や質問の流れなどわかりやすく解説します。(文:日本人材ニュース編集部)
なぜ応募者の本質を見抜く質問が必要なのか?
入社後のミスマッチや早期退職を防ぐためにも採用面接で応募者の本質を見抜くことはとても重要です。
一方で、応募者の人柄や性質が会社の風土や職務に合っているのか、自社で活躍できそうか、同僚とうまくやっていけそうかは書面で判断するのはかなり難しいと言えるでしょう。
実際に会ってみて、定型だけでなくいろんな角度から質問を行い、質問回答および非言語コミュニケーション部分を見て応募者の本質的を見抜くことが会社としてとても重要です。
採用面接で人材を見抜くために必要な準備
・まず欲しい人材像を明確に決める
・面接のマニュアルを作成する
・深掘りするための質問を用意しておく
・あらかじめ応募者の書面を確認しておく
会社に入ってくる人材がその会社を作っていくと言って過言ではありません。優秀で会社に合った人材を採用するには、しっかりと綿密に準備を行うことが重要です。
まず欲しい人材像を明確に決める
自社にとって必要な人材の理想像をあらかじめ決めておくことは、その後人材選びに迷った場合の指標となるためとても重要です。企業や部署によって欲しい人材は異なるため、関係者に聞き取りを行い、まとめておきましょう。
また、実際に必要な人材を呼ぶために、現場と経営者層で欲しい人材を一致させることも忘れずに行いましょう。
面接のマニュアルを作成する
面接の手順や質問する順番、NG事項などをまとめてマニュアルを作成すると進行がスムーズになります。1日に複数の応募者を相手にする場合は特に体系化を行うことで、応募者同士の比較もしやすく、属人的な判断も減らすことができるでしょう。
また、応募者の緊張がほぐれるような話し方も意識しチーム内で共有しておくと、普段の姿を見られてなおよいです。
深掘りするための質問を用意しておく
面接を進めるうちに、応募者の話で深掘りしたい内容も出てくるはず。とっさの一言が思い浮かばずに聞き逃してしまって後悔しないように、あらかじめいくつか想定して質問を記載しておくとよいでしょう。
あらかじめ応募者の書面を確認しておく
面接が始まる前に、書面上でわかる応募者のスキルや性質が、欲しい人材像に合致しているか確認しておくことも基本ですが重要です。
特に欲しい人材に近い場合には、見えにくい細かい特性を見逃さないように気を引き締めることにつながります。当日質問する内容もある程度絞ることができるのもメリットです。
採用面接で応募者の本質を見抜くための質問の流れ
1.アイスブレイク
2.面接官や会社の紹介
3.応募書類にもとづく質問
4.深掘り
5.逆質問
6.今後の流れの説明
面接時に質問の流れを設けることで、無駄のない進行を行い、応募者を見分けることに集中できます。その流れを見ていきます。
1.アイスブレイク
面接時には多くの応募者が緊張しています。普段の人柄をみるためには、まずは緊張を解いてあげるよう雑談からはじめると良いでしょう。話題は天気や時事に関することなど、仕事に関係しない、何気ない内容が応募者も答えやすくてアイスブレイクにおすすめです。
2.面接官や会社の紹介
面接官が自己紹介し、続けて会社の説明を行います。この段階の目的は、会社の事業や今後の展望、公式HPには載せていない詳しい業務内容などを説明し応募者との認識のギャップをなくすことです。入社後のミスマッチが防ぐため応募者の気持ちに沿った説明を行いましょう。
3.応募書類にもとづく質問
応募書類に基づく質問は応募者本人を知れる一番重要なパートです。応募者が会社に合う人材かどうかが一番判断しやすいでしょう。
転職であれば、前職の仕事内容や転職する理由、仕事において楽しいと感じることなども聞き、自社に合うのか?長く働いてくれそうか判断するとよいでしょう。
人によって本質を引き出すための質問は変わってくるため、多くストックしておくとよいでしょう。
4.深掘り
質問を繰り返すことで事実の深堀りを行うことも大切です。
応募者が回答した内容に対して、「具体的なエピソードはありますか」「なぜその時そう思ったのですか」などと質問することで、応募者の過去を深掘りしていきます。
過去の経験は応募者の適性や能力を把握する上で非常に重要な材料となりますので、質問を繰り返すことでうまく深堀りしていきましょう。
5.逆質問
逆質問とは面接時に志望者が企業側に向けてする質問のことです。
逆質問によって、会社への関心度、入社への志望度、意欲の高さをはかれます。
多くの採用候補者の中から、入社の意思や、活躍してくれそうかの正しい順位付けを行うためにも忘れずに行いましょう。
6.今後の流れの説明
最後に次の面接日程もしくは合否の連絡方法や期限など、今後の流れを説明しましょう。
応募者のその後の判断に大きく影響を与えるため、特に欲しい人材である場合には好感や安心を持ってもらえるような伝え方をするとよいでしょう。
以上が面接の大まかな流れとなります。
採用面接で深掘りして人材を見抜くための質問例
質問が重要であるのは重々理解しているが、効果的な質問は何か考えるのは大変です。本章では実際に面接時に役立つ質問集をまとめてみましたので、ご参考ください。
意欲や熱意を確かめる質問例
・当社では具体的にどんな業務に携わってみたいですか
・会社選びで重視していることは何ですか
・今受けている企業の中で当社の志望度は何番目ですか。また、その理由は
・当社でどのような経験、スキルを身につけたいですか
・転職をして当社に求めることは何ですか
入社に対しての意欲が高ければ、入社後に活躍してくれる可能性が高いです。また、内定辞退の可能性も低くなるため、安定した採用活動につなげることができます。
ただし、選考の進み具合によっては、応募者と採用担当者との間にギャップが生まれる場合もあるため、タイミングには気を付けましょう。
自己理解の深さを確かめる質問例
・周囲からどのような人だと言われることが多いですか
・苦手なタイプの人はいますか。それはどのような人ですか
・どんな時にモチベーションが上がりますか
・これまでで挫折した経験はありますか。それは、どのような出来事ですか
・周囲の人から、どのような人だと思われたいですか
自己理解が深い人は得意な面を伸ばし、苦手な面を克服するための行動につなげられます。 つまり成長しやすい人材と言えるため、上記のような質問を投げて、その回答を吟味しましょう。
協調性を確かめる質問例
・影響を受けた人や目指している人はいますか
・苦手な人が会社にいた場合にどのように対応しますか
・何かチームで取り組んだことはありますか。その時のあなたの役割は何でしたか
・チームワークを保つためにあなたが重要だと思うことは何ですか
・ご自身がリーダーになった場合にはどのようなリーダーになりたいですか
会社では一人でできるタスクの方が少なく、チームワークが重要です。また、一口に協調性といってもさまざまで、リーダーとしてチームを引っ張ることができるのか、仲間と協力してプロジェクトを遂行させるのか組織での動き方が変わります。欲しい人材と応募者の適正を合わせられるように質問を行いましょう。
責任感の強さを確かめる質問例
・過去にリーダーシップを発揮した経験はありますか
・今までに大きな失敗をしたとき、どのように対処しましたか
・チームを目標達成に導くためにあなたがとった行動を教えてください
仕事において責任感はとても重要なポイントです。最後までやり切れる人物かどうかは今までの経験からも判断できる特性でもあります。上手くいった場合だけでなく、失敗した際の対応も聞くとより本質を理解しやすいでしょう。
採用面接で面接官が意識すべきこと
・プライバシーに関する質問は避ける
・オープンクエスチョンを多めにする
・柔らかい態度と丁寧な相槌を心がける
面接時には、応募者を判断するとともに、尊重して進めなければなりません。特に国から定められているルールもありますので、ご紹介します。
プライバシーに関する質問は避ける
採用選考に当たっては
・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適性・能力に基づいて行うこと
の2点を基本的な考え方として実施することが大切です。
(引用:厚生労働省 公式HP )
厚生労働省によって、採用面接に置いて、本人の適性・能力に関係のない質問は避けるよう明記されています。 具体的に配慮すべき内容は下記の通りです。
<a.本人に責任のない事項の把握>
・本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること
<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
(引用:厚生労働省 公式HP )
オープンクエスチョンを多めにする
オープンクエスチョンとは、回答の範囲を制限せず、回答側の自由度が高い質問のことです。オープンクエスチョンを多くすると、応募者が自分の言葉で表現・説明する機会をつくれ、より深く人となりや考え方をとらえることができます。
柔らかい態度と丁寧な相槌を心がける
応募者の普段の様子を知るため、本質を見極めるためにも面接官の聞き方の態度は重要です。具体的には相槌を打ちながら「しっかりあなたの話を聞いていますよ」という態度を示し、相手の考えや思考力を引き出すことに努めましょう。
Web面接を行う際のポイント
・通信環境を整える
・適切なツールを選ぶ
・適切な環境を用意する
・カメラを見て話す
・普段よりもはっきりと分かりやすく話す
・リアクションを大きめにとる
近年増えているWeb(オンライン)面接だと、画面を通したコミュニケーションになるため、工夫が必要です。
応募者とのコミュニケーションをスムーズにするために普段よりもはきはき喋ったり、大きめに相槌を打ったりするとよいでしょう。また、採用担当者同士で話すタイミングが被らないようにうまく連携を取ることや、PCやマイク、通信環境を整え、静かな面接環境を用意することも必要です。
効果的な採用を行うために面接の質問を多くストックしましょう
少ない採用の期間で、応募者の本質を見抜くことは非常に難しいですが、企業にとって欠かせません。
そのためには採用工程をスムーズに進めるための準備や、質問のストック、質疑応答の想定をしっかりと行いましょう。