2018年問題とは、改正された労働契約法や労働者派遣法の影響が2018年に出てくることから、契約内容の見直しで契約社員や派遣社員の雇止めが多数発生するのではと危惧されていたことを指します。
契約社員や派遣社員は期限の定めのある有期雇用契約を結んでいるため、1年から1年半ごとに契約更新をおこないます。一般的には、不祥事等や勤務態度などに問題なく業務に従事していれば繰り返し契約更新がおこなわれます。しかし法改正により企業の雇用体制の見直しが実施されるため、2018年前後を目処に契約更新をストップされてしまうのではという不安が日本経済全体に広がりました。厚生労働省の調査によると、2018年時点での有期契約で仕事をしている人の数は1,677万人に達しており、前労働人口の3割を占めていたことから、2018年問題は大きなトピックとして注目されていました。
2018年問題で重要なのが、2012年8月に制定された改正労働契約法と2015年9月に制定された改正労働者派遣法の2つの法改正です。労働契約法は企業と労働者の間に結ばれる労働契約の基準を定めた私法で、労働者派遣法は企業が労働者を派遣・雇用する際に守るべき基準を定めた公法です。改正労働契約法では、通算5年を超える労働契約の更新がなされた場合、無期限の労働契約への転換を労働者側が希望できるようになりました。そのため企業としては無期雇用を受け入れるか、雇止めを実施するかを検討する必要性が出てきました。
改正労働者派遣法では、以前は派遣契約に期限はありませんでしたが、改正後は3年の期限が新たに定められました。期限が設定されたことで、企業はより慎重に人員計画を立てる必要が出てきたのです。
企業の対応として必要なことは、有期契約や派遣社員についての現状把握、今後に向けた人員計画の見直し、採用に関する助成金の利用などです。有期契約から無期契約に変更されても条件は同一のまま雇用できますが、無期契約になれば人材の流動性が失われるため、コストや事業の方針なども含めて人員の見直しをする必要があります。
場合によっては雇止めも選択肢として考慮しなければなりません。採用を促進する企業には国から助成金のサポートが受けられるため、さまざまな観点から検討する必要があります。