フィードバックは、相手に対して口頭や文章で指摘や評価を行うことを意味します。英語の「feedback」は、システム工学における「帰還」を意味します。外部に出力した信号が戻されて目標値と出力値が一致するように、元のシステムを制御することを「フィードバック制御」と呼びます。ビジネスシーンにおけるフィードバックが目標達成に向けて行動を軌道修正するために、指摘や評価を行うことと同じニュアンスになります。
企業は従業員の行動と進捗状況に対してフィードバックを行うことにより、課題を明確にして解決する力がつくため人材育成を図ることが可能です。行動を軌道修正させればそれだけ目的を達成する可能性が高くモチベーションも上がり、成果が出ることにより組織全体の生産性は向上します。
一般的に上司が部下にフィードバックを行いますが、主な進め方の方向性としてポジティブとネガティブの2つがあります。
ポジティブフィードバックは、相手の行動を肯定的に捉え「良いところ」を評価して成長につなげる方法です。部下が努力したことを称えて自信がつくように、「ポジティブ」な言葉を選ぶ必要があります。改善点についても前向きに伝えるように注意を払わなければなりません。それによって部下は高いモチベーションを保ちながら、次の段階に進むことが期待できます。
ネガティブフィードバックは、相手の行動について「問題点」や「改善点」を中心に指摘します。自分の行動を否定された従業員は、自ら改善点を探そうとするため、現状維持に止まらずさらなる成長が期待されます。そうした効果を狙ったフィードバック方法ですが、場合によっては精神的なダメージを与えてしまうおそれがあるため、対象者の状態を十分に考慮したうえで行う必要があります。上司として言葉選びや、語気の強さにも注意しましょう。
フィードバックには、さらに3つの手法があります。サンドイッチ型は「褒める」「改善点を指摘する」「褒める」という順番で行うポジティブと、ネガティブを合わせたフィードバック方法です。 SBI型は、Situation(状況)、Behavior(行動)、Impact(影響)を順番に行うことで相手が内容を理解しやすくなるため、信頼関係の構築につながるのが特徴です。ペンドルトンルールとは、上司が部下を一方的に評価するのではなく、部下が反省点を出してお互いにコミュニケーションを密にとりながら進める手法です。