精神障がい者の雇用が増加、雇用ノウハウは「蓄積途上」「手探り状態」が5割超

精神障がい者の雇用が増加した企業は3割超となり、全障がい種の中で最も多かったことが、パーソル総合研究所(東京・港、萱野博行社長)が実施した「精神障害者雇用の現場マネジメントについての定量調査」で明らかとなった。

障がい者を3人以上雇用する企業を対象に、障がい種別に雇用数の増減をみると、精神障がい者の雇用が増加した企業は33.8%と全障がい種の中で最も多かった。

【障がい種別 雇用数が増加した企業の割合】
身体障がい者 28.1%
知的障がい者 23.2%
精神障がい者 33.8%
発達障がい者 16.3%
高次脳機能障がい者 3.2%
難病患者   2.7%
その他    0.4%

雇用経験ありを100%とした時の直近5年間での増加企業割合をみると、発達障がい者は60.2%、精神障がい者は53.6%と、雇用経験のある企業において直近5年間での増加が多い傾向となった。

【雇用経験ありを100%とした時の直近5年間での増加企業割合】
身体障がい者 30.7%
知的障がい者 40.0%
精神障がい者 53.6%
発達障がい者 60.2%
高次脳機能障がい者 41.9%
難病患者   25.0%
その他    22.2%

障がい種別に雇用ノウハウの状況を聞くと、精神障がい者においては、雇用ノウハウが「蓄積途上」「手探り状態」の企業が57.0%と過半数を占めており、特に「手探り状態」は25.5%と全障がい中最も多い。

【雇用ノウハウについて「蓄積途上」「手探り状態」と回答した企業割合】
身体障がい者 51.4%
知的障がい者 46.8%
精神障がい者 57.0%
発達障がい者 44.1%
高次脳機能障がい者 31.5%
難病患者   34.6%
その他    30.7%

障がい種別に、雇用ノウハウの蓄積状況ごとの過去5年間の雇用増減をみると、精神障害者については、「手探り状態」の企業の26.1%、「蓄積途上」の47.4%で雇用数が増加しており、他障がいよりも増加率が高かった。

パーソル総合研究所では「精神障がい者においては、他障がいに比べ、雇用ノウハウに乏しい企業においても雇用が増加している傾向が確認された」とした。

障がい者雇用について一般企業の雇用担当者は「障がい者には成果発揮を求めず安定的に働いてもらうことを重視」が55.3%と過半数を占め、「障がい者の業務能力育成を重視」の34.4%を大きく上回り、「育成重視」よりも「戦力化非重視」の企業の方が多い傾向だった。

また、「障がい者雇用は社内で優先度が低く、人や資金が割かれていない」割合は、28.9%にのぼる。

パーソル総合研究所では「急速に増加してきた精神障害者の雇用の“量”に対して、“質”の確保が課題となっている」と指摘する。

調査は、2023年1月19日~2月9日、全国21都府県の障がい者を3人以上雇用する一般企業と全国の特例子会社の障がい者雇用担当者を対象にWEBアンケートで実施し、746社の回答を調査した。
※主に特例子会社、就労継続支援A型事業所で障がい者を雇用する一般企業と、調査時点で障がい者を雇用していない事業所は除外した。

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