「人権デューディリジェンス」とは、企業が自社の事業活動において、人権への負の影響を特定し、防止または軽減するためのプロセスを指します。
企業が行う取り組みは以下です。
人権方針の策定：人権尊重に関する方針を策定し、従業員や取引先に周知します。
人権リスクの特定：自社の事業活動によって人権に与える潜在的な負の影響を特定します。これには、直接的な影響だけでなく、サプライチェーンを通じた間接的な影響も含まれます。
人権リスクの評価：特定されたリスクの深刻度や発生可能性を評価し、優先順位をつけます。
対策の実施：リスクに応じた適切な対策を立案し、実施します。これには、社内教育、モニタリング、是正措置などが含まれます。 進捗状況の追跡と情報開示：対策の進捗状況を定期的に確認し、ステークホルダーに対して透明性のある情報開示を行います。
各社の取り組み
花王
花王は、2020年に「花王人権方針」を策定し、人権デューディリジェンスのプロセスを開始しました。2021年には、サプライチェーンにおける人権リスク評価を実施し、優先的に取り組むべき課題を特定しました。また、社内教育や啓発活動を通じて、従業員の人権意識の向上に努めています。
日本電信電話（NTT）
NTTは、2020年に「NTTグループ人権方針」を制定し、人権デューディリジェンスの取り組みを強化しています。2021年には、グループ全体で人権リスク評価を実施し、特定された課題への対応を進めています。また、AIを含む新技術の開発・利用における人権配慮にも注力しており、倫理的な研究開発体制の構築に取り組んでいます。
味の素
味の素は、2021年に「味の素グループ人権方針」を策定し、人権デューディリジェンスの取り組みを開始しました。同年、グループ全体で人権リスク評価を実施し、サプライチェーンにおける強制労働や児童労働などの課題を特定しました。これらの課題に対応するため、サプライヤーとの対話や監査を強化するとともに、社内教育や啓発活動にも力を入れています。
まとめ
人権デューディリジェンスは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」で提唱され、企業の社会的責任の一環として重要性が高まっています。企業は、人権デューディリジェンスを通じて、事業活動が人権に与える負の影響を最小化し、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されています。
花王、NTT、味の素などの大手企業が人権方針の策定や人権リスク評価の実施など、人権デューディリジェンスの取り組みを積極的に進めています。これらの取り組みは、企業活動が人権に与える負の影響を最小化し、持続可能な社会の実現に貢献するものです。
今後、企業がさらに人権デューディリジェンスを推進し、ステークホルダーとの対話や情報開示を通じて透明性を高めていくことが期待されます。同時に、政府や社会も企業の取り組みを支援し、協力していくことが重要です。 企業、政府、社会が一体となって人権尊重に取り組むことで、全体で持続可能な発展を実現していくことができるでしょう。
