コンコードエグゼクティブグループ
渡辺 秀和 代表取締役社長 CEO
【PROFILE】一橋大学卒。三和総合研究所 戦略コンサルティング部門を経て、2008年コンコードエグゼクティブグループ設立、代表取締役社長CEO。戦略コンサルタント、投資銀行・ファンド、外資系エグゼクティブ、起業家等へ1000人超のビジネスリーダーの転身を支援。第1回「日本ヘッドハンター大賞」コンサルティング部門MVP。東京大学×コンコード「未来をつくるキャリアの授業(2017)」コースディレクター。著書『ビジネスエリートへのキャリア戦略』『未来をつくるキャリアの授業』『新版コンサル業界大研究』。コンコードアカデミー代表取締役会長。
総合系ファームを中心に、戦略系、シンクタンク系、IT系、FAS系、人事系など様々な領域のコンサルティングファームの事業が好調で、積極的な採用が行われています。
ここ2、3年ほどで大規模な採用を行ったファームの採用はやや落ち着きましたが、そのようなファームに追いつくべく、大規模な採用に打って出るファームが次々登場しています。
また、情報セキュリティ、IoT、デジタルマーケティングなど、新しい領域のコンサルティングビジネスが急拡大しています。
そのため、業界全体としては引き続き積極的な採用が行われており、市況の変化に注意は必要ですが、各社の好調な受注が続くようであれば、この積極採用が当面続くと予想されます。
現在のようなプロジェクトを受注しやすい環境下では、受注力のあるパートナーの数ではなく、プロジェクトをリードできるマネジャーの数が事業拡大の制約となる側面があります。しかし、プロジェクトマネジャーは、コンサルティング経験が必要となるため、おのずと採用対象者は限定されます。
このような背景から、コンサルティング業界内では、即戦力の経験者(ポストコンサル)の争奪が激化しています。さらに、PEファンド、ネット系企業、グローバル企業もこれらの人材を積極採用しているため、業界を跨いだ採用競争が行われています。
即戦力人材の存在が重要であることから、各ファームは採用だけでなく、自社で育った人材が流出しないように、リテンションにも配慮する必要があるでしょう。
メンバーへのケアを十分に配慮できるパートナーやマネジャーの育成、報酬体系やワークライフバランスの見直し、現場マネジャーが部下育成の負担を減らすことができる人材育成体制の整備など、様々な施策を整えることが大切です。
現職のコンサルタントも、現在は転職によるキャリアアップの好機と捉えています。このような中、採用という「攻」だけでなく、リテンションという「守」の重要性が高まっていると言えます。