クライス&カンパニー
松尾 匡起 シニアコンサルタント
ベンチャー企業の採用は資金調達状況と大きく連動してくるところがあります。リーマン・ショックの2008年以降下降線を辿っていた未公開ベンチャー企業の資金調達状況は2014年に大きく改善し調達金額で前年比1.58倍、6年ぶりに1000億円を超える規模になりました。また、フェーズとして設立1~5年内の企業による大型調達が増え35%を占めています。
業種はインターネットを活用した事業モデルを持つ企業が約80%。その他ヘルスケア、バイオ、環境等の企業が増加傾向です。また海外志向の企業も増えており、法人登記を海外で行う企業の割合が8%となり、大阪の6%を抜いています。
こうした資金調達をてこに収益化の加速を目的として積極採用をする企業が引き続き増加中です。インターネットを活用した事業モデルを有するベンチャーでは、高いスキルをもつエンジニア(創る人)の需要が根強く、アライアンスを推進する事業開発や営業職(拡げる人)のニーズも変わらず高い。
また、特徴的なのはスキルに加えてマインド面も重視した選考をする企業が増えていることです。事業理念への強い共感、不確実さを愉しめるマインド、専門分野以外の領域にもマルチに対応できる柔軟性などがそれです。
ベンチャーの資金調達や海外展開等のニュースがクローズアップされることも手伝い、大手や外資系からの転職希望を掲げる方も珍しくなくなっています。
ただしスタートアップでチャレンジしたい、IPOで一攫千金、といった自己都合な動機ではベンチャー転職に成功することはなく、左記で挙げたような企業が求めるマインドを保有する方が転職を実現されています。
採用を成功させているベンチャーに共通する要素の一つとしては、経営トップ自ら採用活動に積極的であることです。ビジネスPR活動ももちろんですが、信頼できるキャリアコンサルタントと経営トップがリレーションを深め、スキルとマインドの両面から地道なサーチ活動を行い優秀な人材を自ら口説いていくことが重要です。