目標管理制度とは、多くの企業が取り入れているマネジメント手法の一つです。経営学者であるピーター・ドラッカーが提唱した理論であるManagement by Objectives（MBO）を日本語に訳すと、目標管理となります。ピーター・ドラッカーの理論は、効率的・生産的な成果をもたらすためには、個人を尊重して自主性を伸ばすことが必要であることを説いています。
目標管理制度の仕組みは、従業員一人ひとりが目標をたて、目標達成に向けて業務を遂行し、自身で進捗管理や軌道修正を行いながら目標の達成度を評価します。目標を達成するまでのプロセスやかかった時間、目標を達成することでの効果について、自身で把握することが大切です。上司や会社から課せられたノルマではなく、自身が設定した目標であるため、自立した業務遂行が期待できます。
目標管理制度のメリットは、従業員の成長を促し能力を最大限に発揮してもらうことで、従業員のモチベーションの向上につながることです。さらに、企業のチームの活性化にもつながる効果があります。従業員一人ひとりが業務のプロセスを組み立てられるようになり、人材育成にもつながります。
目標管理制度を導入することで上司は部下を公平な目で評価しやすくなるため、人事考課に活用している企業も多くあります。人事考課に適用することで、従業員にとってもモチベーション維持につながります。
目標管理制度が広まった背景には、日本では従業員のパフォーマンスや成果とは関係なく年功序列を前提としていたため、膨らんでいく人件費と成果が比例していないという課題がありました。従業員をパフォーマンスや成果で評価することは、企業にとってもメリットが大きく、組織マネジメントの一環として多くの企業が取り入れるようになりました。
目標管理制度のポイントは、従業員と企業の成長につながるかが大切です。企業目標とかけ離れた目標では、企業全体の成長につながりません。そして達成するためには、能力アップが望めるような内容であることもポイントです。掲げた目標を上司が一緒に確認し、目標管理を上司が見守ることで、平等でスムーズな人事考課にも期待できます。目標を達成するためのアドバイスや、未達成の場合にはフィードバックするといったフォロー体制が、目標管理制度を成功させるポイントといえます。
