レガシー

レガシーは「伝統」や「遺産」を意味する言葉です。ビジネスにおけるレガシーは、過去から現在に受け継がれている会社の伝統や価値観というプラスでの意味で使われる場合と、従来型の業務プロセスが今でも使われており、効率化されていない時代遅れな仕組みや考え方というマイナスの意味で使われる場合があります。最近では企業組織全体の仕組みや業務プロセスのIT化を国全体で推し進める動きが活発になり、従来の業務を改善しようとする流れが強くあるため、レガシーは変革を起こすべき古い業務や慣習というマイナスイメージの言葉として使われる機会も多くなりました。

レガシーのプラスな意味での使われ方の例として、レガシーカンパニーがあります。レガシーカンパニーとは伝統のある企業を指す言葉で、創業から数十年もしくは百年以上の歴史がある企業や、長年の積み上げから従業員や売上の規模が巨大化している企業のことを意味しています。財閥系などの企業の多くがレガシーカンパニーに該当し、経済的に安定しており社会的な信用も獲得しています。

レガシーのマイナスな意味での使われ方の例としては、レガシーコストやレガシーシステムなどがあります。レガシーコストとは、遺産を維持するための費用のことです。古くなりユーザーが離れてしまったサービスやシステムにも関わらず、少数のユーザーが残っているために、利益につながらない生産活動を続けなければならない場合などにもちいられます。

また、退職者に支払いをおこなわなければならない年金や保険料も、レガシーコストの一つです。有名な例としては、米国の自動車メーカーの業績不振を理由にした経営破綻があります。景気後退が影響を与えたのは間違いありませんが、退職者への年金や保険料の支払いが大きな負担となっていることが指摘されています。

レガシーシステムとは、過去に構築されたものの、長きに渡って刷新されなかった古い技術のままの仕組みや業務のことを指しています。日本では政府が主体となって組織や業務のIT化を推進していますが、業務改善が浸透しない場合、年間10兆円以上の経済損失が発生するとも試算されており、レガシーシステムが大きな問題として懸念されている状況です。レガシーシステムを改善するためには、専門知識や技術を持った人材を確保し、経営陣が古い体質の会社の刷新に理解を示し、適切な対策を講じていくことが重要になります。

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